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□be my valentine forever
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毎年毎年この日にはファントムハイヴ家に薔薇の花束が玄関ホールから溢れかえる程送られてくる。
その殆どが男性からだ。

坊ちゃんが大のスイーツ好きだと知った輩は一流パティシエに作らせたという焼き菓子などに薔薇を添えて送ってくる。



正直、



大 変 不 愉 快 です。


私の主人は誰彼かまわず始終お色気オーラを振り撒いています。無意識です。

それを…勘違いの虫ケラ共め。

…こいつら全員地の果ていえ、あの世の果てまで引きずり回してやりましょうか。

第一、屋敷の庭には薔薇園がありますし、私が作るスイーツが一番だと坊ちゃんにお墨付きを頂いております。

つまり、こんな物ゴミ同然。まったく、伯爵の家にゴミを送りつけるなんて頭おかしいんじゃないですか?

苛々しながら、でも一応このゴミは贈られた物、仕方がないが坊ちゃんに報告しなければと考えていたら。

目の前にしゃがみ込んで焼き菓子の箱を開けている主人が居た。


「坊ちゃん、召し上がってはいけませんよ、毒物が入っていたらどうするんです?」

「いい香りだ。」


会話になっていません。
口に入りかけているマカロンを摘まんで投げ捨て坊ちゃんを立たせると、まだ手に掴んでいたマカロンを私の唇に当ててきた。


「じゃあお前がまず食べろ。」


ええ、ええ、私は貴方のイヌですもんね、しかも不死身ですもんね、予想はしていましたよ。

一口かじると坊ちゃん好みの味がした。悔しいが私作のマカロンと大差ない。

坊ちゃんがじっと私の様子を窺っている。


「…いけません、やはり薬が盛られています。」

「へぇ、次はこれだ。」


坊ちゃんに仕えて初めて嘘をつきました。

嘘がバレないかドキドキしながら、すぐさま唇に当てられたパウンドケーキをかじる。
今度は私が作る物の方が坊ちゃん好みの味だと確信して心の中でガッツポーズを決めた。


「変な顔するな、どうなんだ?」

「賞味期限が切れてます。」


また嘘をつきました。
ふーん、と興味なさげに次に毒見をさせる物をしゃがんで選んでいるその背中に呟いた。


「…私が作ったスイーツが一番なんじゃないんですか…」


私の呟きに、立ち上がって振り返る坊ちゃんはじーっと私を見つめている。
何かを待っているようなその眼差しに私は首を傾げた。



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