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□legend of moonlight....
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やめて

やめて!



僕の願いは届かない





痛みと共に気を失った。

御父様と御母様と同じように僕も死んだんだ。


そう、だと、思った


目を覚ました。
目の前に広がるのは黄泉の世界

と、思っていた。


確かに感じる身体の痛み

起き上がろうとした僕の両足首には足枷。ジャラジャラと嫌な音で鎖が鳴る。

ここはどこ?

天井を見たかった僕の視界は冷たい金属のやけに低い天井に阻まれた。

檻?

等間隔で並ぶ天井と床を繋げる棒が僕が今入っている部屋を作っている。

そう、檻だ!動物園で見た、動物が入っていた。同じ物。
でも、僕は動物じゃないし、動物園にもいない。
どうして?

御父様、御母様?

どこに、いるの?
セバスチャン、僕のにおいがわかるだろう?

助けて!


僕がいる檻に誰かが近づいて来た。

変な仮面を付けた、大人。
御父様ではない。

その大人は僕に酷いことをたくさんした。
痛い
熱い
汚い
惨い

神様、どうして?
助けてくれないの?


何時か目を覚ました僕が隣を見たら知らない子が多分僕と同じ作りであろう檻に入っていた。


その子も足枷を付けられて背中に僕と同じ、あの熱い、痛い、痕を付けられた。


怖い大人達が居ないときに、大丈夫?と話し掛けたけど、その子は返事をしなかった。目は、虚ろだった。

怖い

でも、僕はそれ以上にあの大人達を憎んでいる。

神様なんて、居ないんだ。

だったら僕が絶対に、あいつらも同じ目に遭わせてやる!
僕に酷いことをした、あいつらも、同じ目に遭えばいい!


次に意識を取り戻した時僕が見たのは隣の檻に居た子が、変な模様が書かれた上に設置された台に寝かされて、気持ち悪い大人達が奇妙な言葉を言いながらナイフを振りかざした場面。

止めて!声が出ない僕は心の中で叫んだけれど、大人は止めなかった。

その子は無言で、その血飛沫が刺した大人に飛び大人達は狂喜していた。

突然ズタズタに切り裂かれたその子の身体を放り投げて失敗だ!と狂った大人達は怒鳴り散らす。


次は、僕…?


大人と目が合って本能的にそう思った。
僕が、あいつらに、あんな風に、殺される?

嫌だ、嫌だ、嫌だ!

死にたくない、あいつらに


あいつらに

あいつらに

この苦痛を

屈辱を

同じ目に遭わせる!




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