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□Blue blood....
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チョコレートを細かく刻み、沸騰寸前まで温めた生クリームに加え、空気が入らないよう混ぜバットに流し込み冷やし固める。
チン、とオーブンが鳴りケーキの土台、スポンジが焼きあがったことを告げた。それを取り出しケーキクーラーの上で粗熱が取れるのを待つ間にホイップクリームやフルーツを切ったり準備をして置く。

スポンジの粗熱もとれた所で、ふわふわのそれを薄くスライスし、それぞれの断面に刷毛でシロップを塗る。しっとりとしたスポンジの片方に緩くホイップしたクリームを塗り、坊ちゃんの好きなフルーツを均等に並べ、またクリームを塗りそれらをもう片方のスポンジで挟む。
その上からクリームを垂らし、パレットナイフできれいに延ばす。
角が立つくらいにホイップをしたクリームを口金をセットした絞り袋に入れ、ケーキの淵にデコレーションを施していく。

次に冷やし固めたチョコレートを坊ちゃんの口の大きさに合わせて小さめに丸めココアパウダーを塗した物をいくつも作る。
そしてそれらをシンプル且つ坊ちゃんに似合うよう上品に仕上げて、最後にチョコレートで書いたHAPPY BIRTHDAYの文字を乗せたら、完成。
そのケーキを他の使用人には見つからないようなところに隠す。

腕まくりをしていたシャツを直していると坊ちゃんのベルの音が聞こえた。

部屋に赴くと、窓を全開にして大きな椅子にもたれかかって居眠りをしている坊ちゃんがそこにいた。
では、誰がベルを鳴らしたのかと不思議に思っていると、部屋の中には寒空の中暖かい場所を探して迷い込んでしまったと思われる小鳥がくちばしで器用にベルを突いて鳴らしていた。
ベルで遊んでいる小鳥から、驚かせないようにベルを取り上げる。

よく坊ちゃんを見ると、その小さな肩にこれまた小さな鳥が停まっている。
この微笑ましい光景を崩すのは気が引けるが、このまま窓を全開にしておけば坊ちゃんが風邪をひいてしまうので、小鳥たちを全て外に逃がして窓を閉める。


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