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□Pinch!
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頼みの綱のフィニはというと、日頃セバスチャンに口酸っぱく怪力を注意されているせいかどうしたらいいかわからず、泣きそうになっている。
こんな時にあの悪魔は…!僕が怒りに震えていると、勢い良く扉を開ける男。
「フィニおっせー…ぞって、オメー浮気たぁどういう事だ!」
馬鹿が増えただけだった!
ってか、浮気?お前たちそういう関係だったのか!?聞いてないぞ!
いや、それよりまずは頬擦りしてくるこの変態をその火炎放射器で丸焦げにしろ!
「今夜こそ駒鳥に楽しい事を教えて…」
「結構です!私の坊ちゃんに厭らしい事を強要しないで頂けますか。」
「お前、遅い!」
やっと鳥肌が収まったセバスチャンが僕を子爵から引き剥がして背後に庇う。
ほっと息を吐いて、同時にバルドによって救出されたフィニを見ると、バルドから拳骨を貰って泣いていた。
「ふふ、では、またの機会にでも。」
「いや、またなんて無…」
「お待ちしておりますよ、私の駒鳥。」
サッと左手が取られて甲にキスをされ、セバスチャンのシルバーが飛ぶ中、子爵はさっさと帰っていった。
キスをされて、また鳥肌が!
と思ったのに、え、何で
「坊ちゃん、何故照れてるんですか!」
「照れてなんかない!」
怒鳴りつけたけれど顔がすごく熱くて、照れたのは明らかだ。
そんな現実を認めたくない。
「お前こそ“私の坊ちゃん”って何だ!僕はお前のものになった覚えはない!」
「な、なな…っ私を弄んでいたんですか!?坊ちゃん、酷いっ」
何時も通りセバスチャンと口喧嘩をして、「綺麗な顔だったな…」と今更ながら散々変態呼ばわりしていた子爵を想った心中を掻き消した。
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