ブック
□be mine forever
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ロンドンの街にある花屋の前で
僕は今、生きてきた13年間の中で一番悩んでいる。
隣のうるさい声なんて聞こえないくらいに。
「花言葉って面白いですねぇ!」
花屋の店員と何やら花言葉で盛り上がっているフィニ。
僕はそれどころではない。
フィニの声に混じって店員に声を掛けたがまだ何本にすれば良いのか見当もつかず悩んでいる僕に、「エリザベス様になら、歳の数なんてどうですか?」と言うフィニとその提案に乗る店員。
そういえばアイツが何歳なのか知らない。尤も悪魔に年齢なんてないだろう。多分。
「…3本。」
花束にするには少ない数に店員も戸惑いを見せながら、紅色の薔薇を3本取り綺麗に包む。
屋敷までの帰路フィニが何で3本なのか訊いてきたが、暴れん坊伯爵の話を振って、流しておいた。
理由なんて、恥ずかしくて言えるか。
屋敷に着いて出迎えるセバスチャンに見つからないよう花束をフィニの身体で隠す。フィニには、僕が誰に買ったかを厳重に口止めしてある。本人はエリザベスだと思っているが。
不自然な僕達の動きをセバスチャンが目で追う。
バレていると思う。
嗅覚が鋭いコイツのことだ、何の花かも判っているだろう。
でも、何本かは判らないはず。
そそくさと僕の部屋に行き、フィニにもう一度、この事は誰にも言うな、セバスチャンにもな。と念を押しておいた。
入浴中も何と言って渡すか考えていた。
バレンタインに贈り物なんて、面と向かって渡すのは初めてだ。
自ら選んだのも初めて。
アイツ、笑ったらどうしてくれよう。
3本の理由を聞いて呆れるだろうか。
ネガティブな想像しかできず、就寝時間に近づくにつれ緊張が増す。
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