「あれ?お前コーヒー嫌いじゃなかったか?」
彼氏のジャッカルと帰宅中。
寒いから自販機で暖かい飲み物を買おうと言われコーヒーを頼んだらそう聞かれた。
『あ〜うん。甘いのなら飲めるよ』
「ふ〜ん」
ジャッカルは自販機にお金を入れる。
『ジャッカルはブラックでしょ』
いつもジャッカルが飲んでるブラックコーヒーのボタンを押す。
「あぁ、それだな。お前はこれだろ」
『え?』
ジャッカルが押したのはコーンポタージュ。
「お前、よく飲んでるだろ。あ、ココアのが良かったか?ミルクたっぷりタイプだよな」
そういいながら笑顔でコーンポタージュをくれた。
『…ありがと。コーンポタージュでいい。ううん、コーンポタージュがいい』
「お前、甘いのが好きなのに何でわざわざコーヒー頼むんだよ」
『だって…』
「ん?」
コーンポタージュを握りしめ俯く。
『好きな人の好きなものを好きになりたいじゃん』
私のほっぺたはたぶん赤い。
寒さだけじゃない…
「おまっ…」
見上げると片手で顔を押さえるジャッカル。
『ジャッカル?』
「ちょっ今見るな…」
『え?』
「俺、お前に負けないぐらい顔赤い自信ある」
そんなジャッカルの言葉に私は余計顔が熱くなった。
「帰るか…」
『うん』
2人でマフラーに顔を埋めながら歩き出す。
片手は飲み物、片手は彼の手のぬくもり…
コーヒーとコーンポタージュとぬくもり