長編2
□☆特殊ヒロイン第6話
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「船長!5時の方向に船影を確認!旗は…見覚えの無い海賊旗!海賊船です!!」
それは、長閑な昼下がりの事だった
見張りから上がった報告に、ローは難しい表情を浮かべていた
航海士であるベポを中心に、甲板へ出ていたクルー達が潜水に向け、動き出す
「…このまま海上を航行しろ。全員警戒態勢を怠るな。敵が攻めて来る様なら…迎え撃つ!!」
ローの指示に、誰もが驚き、息を飲み込んだ
勿論ここは海賊船
敵に会えば戦うのは当然だ
しかし、アリスが乗ってからという物、ローはずっと戦闘になる可能性を悉く避けていたのだ
それはアリスが、戦える人間では無い℃魔知っていたからだった
アリスの戦闘能力を知るまでは勿論、守らなくてはならないお荷物£度に思っていた
それが彼女が戦える事を知っても、戦闘を避けて来たのは…彼女が自らの住む世界の話をした際、争い事など殆ど無い、平和な世界だ≠ニ言っていたからだった
人を殺した事もなければ、殴って傷つけた事も無いと言っていたアリスを案じての事だった
【銃と刀】
彼女にどちらを取るかと持ち掛けた時も、確実に選びはしなかったものの、直接間近で相手を切る刀よりも、銃に重点を置いて特訓したいと言っていたアリス
彼女の言う通り、狙撃手とも呼べる程にアリスの腕は上がったが、言い換えれば近くの獲物を狙う特訓≠ヘしていないのだ
そんな彼女が果たして実戦でどう出るのか
ローはこの辺りで確認してみようと思っていた
「……ベポ!アリスを呼んで来い。」
「え?!キャプテン?!まさか…」
「武器を持参させろ。」
言い淀むベポにはっきりと告げたロー
ベポは困惑の表情を浮かべつつも、アイアイ!と答え、アリスを呼びに船内へと入って行った
表情を曇らせるペンギンに対し、アリスなら戦闘になったってどうって事無いと豪語するシャチ
ローは、これから起こり得る可能性を思い浮かべ、戦闘に向けて静かに策を練っていた