長編

□☆05話『束の間の静寂』
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Sideアリス

ストーカー事件から3日が経った

病院には1日だけ入院して、マルコさんがずっと付き添ってくれた

本当は付き添いは禁止だったけど、私の場合、入院するに至った経緯が経緯だけに、特別に許されたらしい

警察の人も病室の外で一晩見張っていてくれたらしいけど、特に問題は無かった

退院する時、父の会社の顧問弁護士がやって来た

退院手続きもしてくれて、今まで通り、家に戻る様にと言われた

正直、あんな事件のあった部屋には2度と入りたいとも思わない

でも仕掛けられたカメラなんかは、警察の人が徹底的に取り去ったというし、突然別の部屋を用意するのだって大変な事は解ってる

それに何より、マルコさんが一緒に居てくれるからというのが1番安心出来る事だった

それでも家に入れば盗撮の事等の記憶が蘇り、体が震えた

そんな私を抱き締め、大丈夫だと頭を撫でてくれるマルコさんに、また心を救われた

昼はずっと隣に居て、夜はベッドで抱き締めてくれたマルコさん

時折くれる優しい囁きは、安定剤の様に体中に浸透して行った

マルコさんが居てくれて良かった

本当に心からそう思った

不「アリス、そろそろ食うモンも底をついちまうんだけどよい…出掛けられるかよい?」

ずっと私の代わりにご飯の用意もしてくれていたマルコさんがそう言い出した

そうだ…

忘れてたけど、あの事件のお蔭でかなり前から外出していなかった事に気が付いた

『はい。もう大丈夫ですよ。』

そう笑顔で答えれば、優しい手が頭を撫でてくれる

用意をして、2人でスーパーに買い物に行った

食料だけ買って戻ってから、マルコさんにお願い事をしてみた

 
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