ギャグ漫画日和

□飴移
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ころ、コロコロ、
口の中で音を鳴らしながら、すこしずつとけていく甘いソレをゆっくり味わいながら食べていると、自分の視界が少し暗くなった。
「いも!貴様何を食べているでおま!!」
独特すぎるしゃべり方と、たまに視界に入る青のジャージ、それから、聞きなれた声。
「…カレー臭いです。太子」
「私はいつも香しい匂いだこの阿呆いも!」
「誰がいもだ」
せっかく休憩時間になったからゆっくりしてたのに、太子のせいで台無しだ。
…まぁ、太子が嫌な訳じゃないんですけど…
「で?何食べているのだ?」
「飴ですよ。入鹿さんにもらったんです」
美味しいですよ?って言ったら、何味だ?って聞かれた。
「林檎味です。本物とはちょっと違う味ですが」
「なんだ、林檎か……」
太子はブツブツ、カレー味がよかった。とか言ってるけど、んな味あるかって思いながら意識を飴に傾ける。

コロコロ…

「妹子!私も飴が欲しいぞ!」
「……入鹿さんにもらってきたらどうですか」
耳元で言われてキンキンとなりながらそう言ってから、入鹿さんはそういえばさっき買い出しに出かけた事を思い出した。
僕の休憩時間もそろそろ終わるし、飴を食べたまま仕事をするなんて不真面目だ。
「………しょうがないですね」
「へ?」
太子の細っこい腕を引っ張り腕の中に収め、柔らかそうなピンクの唇に自分の唇を合わせる。
驚いて少し空いていた唇の間を割って舌を差し入れる。
「んぅっ……ん、」
顔を真っ赤にして目をつむってる太子の口内に飴を転がし、唇を離す。
いきなりのキスに固まった太子をよそに、僕は立ち上がり仕事場へ向かう。
「今はソレで我慢して下さいね」

しばらくすると太子の「妹子のばかっ」って声が聞こえたが、あの時の太子の可愛さに免じて許してあげた。




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