REBORN

□叶えられない願い
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「ディーノ…」
ベッドの中で書類を読んでいたらノック音の後ドアが開き、恭弥が顔を覗かせた。
「どうした恭弥?」
手まねきをすると、そっと部屋に入ってくる恭弥はまるでちっちゃい子供みたいに枕を抱えていた。
「…今、大丈夫?」
「ん?ああ、大丈夫だぜ。どうしたんだ?」
俺が訊ねると、恭弥は何も言わずにトテトテッと近づいてきて、俺に抱きついた。
「?」
「ぎゅって……して」
意味は分からないまま、小さく華奢な恭弥の身体を抱き締める。
「怖い夢でも見たのか?」
背中をポンポンと叩きながらゆっくりとした口調で聞くと、腕の中でコクンと頷くのが分かった。
「………貴方が、撃たれて死んじゃったんだ」ポツリ、と恭弥は話し出した。
「どこかのマフィアとの銃撃戦みたいで…後ろから撃たれて…」
あり得ない話じゃない。
実際、銃撃戦なんて今まで何度もやってきたし、これからだってきっとすると思う。
まあ仕事だから仕方ないけど。
「怖かったな…もう大丈夫だぜ。俺は此処にいるよ」
だから、安心して寝ろよ?
そんな意味を込めて額にキスを送る。
頭を撫でてると、いつのまにか規則的な寝息が聞こえてきた。
「…おやすみ恭弥」
起こしていた身体を恭弥を抱き締めたまま横にし、もう一度、額にキス。


━出来るなら、そんな不安は無くしてやりたいけど、それは俺には不可能だから、だから今だけは━




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