※ファンタジー絵本風味。






秋の夜長、読書に耽っている柳の家にピーンポーンというチャイムが響いた。

こんな時間にいったい誰が?

そう思いながら柳は読みかけの本を机にぱたりと置き玄関へと向かった。



玄関を開けるとそこにいたのは悪魔のような格好をした少年。

なるほど今日はハロウィンだ。

「ハロウィンか。ちょっと待ってろ、お菓子を取って来るから。」

そう言って背中を向けた瞬間服の裾をつかまれた。

「ちがう。俺が欲しいのはお菓子じゃないっス。あんたのハートっス。」



「ハート?」

見れば少年の持つかごには青い色をしたハートがぎっしり詰め込まれていた。

「俺、魔法使いの見習いの赤也っていうっス。そんで、クラスのみんなと競ってるんスよ。今日の夜12時までに誰がいちばん多くハートを集められるかって。」

そうか、ならばくれてやろう。

「中に入れ。」

中に入るなり手を引かれ、ベッドへと導かれた赤也は慌てて抵抗した。

「ち、ちが、こんなんじゃないっス!」



「何が違うというんだ?そのハートの数だけ寝たんじゃないのか?」

「ち、ちがうっスよ!これは俺がいろんな人に"親切"を与えて、その代わりにもらった"ありがとう"の数っス…」



(まさかの)つづく



☆☆☆

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