ノベル2

□My SUN
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※柳赤裏です








朝からなんだか苛々する。何が理由かわからないが普段なら気にならないようなことが気になって、とにかく苛々する。

人より多少神経質なことは自覚しているが、病的なものではないはずだ。

しかし今日はなんだかずっと居心地が悪い。昨日の夜からだったかもしれない。やたらと寝付きが悪く、眠りについたのは深夜だった。更にはその眠りも浅く何度も目が覚めた。そのせいだろうか。


My SUN




朝から不穏なニュースを読み上げるキャスターの声が耳に障って腹が減っているのに朝飯がうまくない。玄関を出たらまだ早朝だと言うのに焼け付くように肌を突き刺す日光。瞼の裏に強烈な日差しが突き刺してちかちかと眩しい。

ああ、蝉の声がうるさい。

夏は色や匂いや生き物の気配で充満していて、やたらと空気が濃い。圧迫されているようで、居心地が悪い。



朝の部活で思い切りラケットを振れば解消するだろうか。


「柳さん、おはようっス!」

切原家の扉からいつものように飛び出してくる可愛い後輩。こんな苛々する日でもやはり変わらずに可愛いと思う。

「ああ、おはよう赤也。」

「あれ…柳さん…?今日なんか機嫌悪いスか…?」


赤也に感情を読み取られるなんて俺もまだまだだな。少し不安そうに見上げるその顔を見下ろした瞬間、この苛々の正体に気付いた。


「ああ、お前のせいだな。」

「俺…?」

「ああそうだ。お前のせいで俺は昨日からずっと苛々しっぱなしだ。」

「お、俺なんかしたっスか?!」

瞳を揺らしながら縋るような声で助けを請うようなその姿にやたらと安心する。

「そうだな、ちょっとそこで話そうか。」

「朝練…」

「そんなもの俺が何とでも言っておく。」

赤也の手首を掴んで公園へと入って行く。いつもなら清々しいと感じる早朝の公園の空気すらもなんだか刺々しく感じる。

「え?柳さん…?」

そのまま公園備え付けの公衆便所に足を進めて個室に赤也を押し込んで、自分も一緒に入り内側から鍵をかけると誰にも邪魔されない密室が出来上がった。

不安そうな顔の赤也に近づいて自らの体で赤也を壁に押し付ける。この狭い密室が広く感じるほどに密着する。
赤也の腰に手を回してぎゅっと抱き寄せて、腹辺りに硬く主張しているものを押し付けてやると少し熱くなった息を漏らした。

夏の日差しに焼かれることもない美しく滑らかな白い肌にうっすらと汗が滲んでいる。その首筋を舐める。塩辛い。赤也の味がする。もっと欲しいと首筋に舌を這わせながらシャツのボタンを外してやる。露になる白い胸の上で触って欲しそうに尖っているそれを舌で強く押し付けていじめると子犬の様に啼いた。

「や…だ…こんなところで…んっ」

その唇を塞いで股間に手をやるともう十分に硬くなっていた。

「下、脱いで。」

「何するんすか…?」

「ナニするんだ…もう一週間以上してないだろう。早く脱げ。」

「ん…」

恥ずかしそうに言うことを聞く赤也の姿に興奮する。ベルトを外して、下着とともにズボンを膝まで下ろすと可愛い性器がぴんと上を向いている。

「はあ…赤也…赤也は俺にどうしてほしい?」

「…俺は…柳さんに…」

「うん。」

「や…柳さんの、挿れてぐちぐちゃにしてください…」

そう言いながら赤也は俺に背を向けて壁に手をついて尻を突き出した。俺もズボンを脱いで硬くなったものを取り出してその穴にあてがう。先走るものを潤滑油に少しずつ埋めていく。先が入ったところで一気に奥まで貫くと悲鳴にも似た声をあげた。

「ああっ…んんっ…痛っ…はあ…ああ、ああ」

「ああ、赤也の中、凄くいい。」

「んん…あっ…痛い…ああん…」

「すまない…止められそうにない…っ」


いつも、いつまでも赤也の中の感触を自分のもので感じていたい。激しく腰を打ち付けると卑猥な音が響く。

「赤也、赤也…イク…」

「はっ、柳さん…俺も…はあああんっ…!」

達する寸前に抜いて赤也の体に欲望を打ち撒けた。制服にも少しかかってしまった。俺の精液の匂いが赤也に染み付けばいい。
赤也はトイレの壁を白濁した液で汚していた。


くしゃっと頭を撫でてやる。まだ突き出したままの尻の前にひざまずいて、舐めてやると鉄錆のような味がした。まずくはない。

「血が出てしまっている…すまなかったな…」

「いや…大丈夫っス…」

健気な恋人を後ろからぎゅっと抱きしめる。

「赤也…」

「…柳さん」


苛々は消え去り心は穏やかに平静を取り戻していた。

密室を開放して再び外に出ると、熱い空気の中をさらりと吹き抜けていく風が気持ちいい。

あんなにうるさかった蝉の声も生命の賛歌に聞こえる程だ。

もしもお前がいなくなったら、なんて考えることもできないほどに、お前を想って熱く焼け付く胸はきっと真夏の太陽の所為。





end…






*********
あとがき

THANKS10000hit☆

柳さんのほうが我慢効かないといいな、と思いまして。
性欲と愛の関係性について悩めばいいと思います。

20090901晴雨

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