ノベル2

□スイーツルーム
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甘/微エロ
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「赤也、今日はうちに寄ってけ。」

「いっスけど?」

「母と姉が俺の誕生日にとケーキを買ってきてくれたのはいいんだがどうにも買い過ぎてしまったようで食べきれないんだ。」

目についた美味しそうなケーキをとりあえず全部買ったらしい。別腹があるから大丈夫と言いつつ、2個ずつ食べるともう欲しくないと言った。
女というのは不可思議だ。なんというか不条理で、不合理な生き物だ。

「そこで俺の出番っスね。任しといてくださいよ。」

「頼もしいな。」

くすりと笑いながら赤也の頭をぽんと撫でると、赤也は嬉しそうに俺を見上げる。
俺は赤也のそういう単純なところが気に入っている。嬉しいから笑顔。悲しいから涙。わかりやすい計算式が成り立つくらい純粋なところを愛している。





スイーツルーム



家に着いて玄関のドアノブを回すと、鍵が閉まっていた。誰もいないようだ。鞄の中から鍵を取り出してがちゃりと開ける。
ドアを開けたまま視線で促すと、俺の脇下をくぐって赤也は玄関に入る。

「先に部屋に上がっておけ。ケーキは持っていくから。」

「はーい、っス!」

とんとんと階段を昇る足音を見送って、冷蔵庫に入っている白い箱を取り出す。
箱を開けるとそこには色とりどりのケーキ。
見ているだけなら美しいのだが。苺のショートケーキと、丸いカップに入ったティラミスをとりあえず皿の上に置いて、紅茶を淹れた。

それでもまだ余っているケーキ。明日は4つの胃袋を持つ男、丸井にでも相談してみようか。

そんなことを考えながら皿とティーカップをお盆に載せて、階段を昇る。

部屋のドアを開けると、当然だが赤也がいた。自分の部屋に好きな人がいるというのはなんだか不思議でこそばゆくて嬉しいものだ。

しかし机に突っ伏して規則正しく背中を上下させているところを見ると、眠ってしまったようだ。かちゃりと音を立てて机の上にお盆を置いても顔を上げない。

連日の激しい練習で疲れきっているのだろう。本当によく頑張っているのだから。

隣に座ってふわりと頭を撫でてやると「ううん」と小さくうなったので起きるかと思ったがまだ起きない。
無防備なその姿を見ていると無性に何かしてやりたくなる。

音を立てないように、赤也の背後に移動した。
そしてそっと後ろから手を回して、制服のボタンをぷつり、ぷつり、とひとつずつ外して行く。
ひとつ外れるたびに心臓が高鳴る。
すやすやと眠っている恋人に対して一人で興奮してしまっているその状態にすら、また体が熱くなる。

俺は一体何をしているのだろう。

冷静な自分がそう問いかけるが、止められそうにもない。

ネクタイが邪魔をして一番上のボタンだけが外れない。

ゆっくりとネクタイの結び目に指をかけ、余計な力を入れないようにするりと解いてやった。

そして一番上のボタンを外してそっとそのしなやかな胸に触れると、赤也はゆっくりと顔を上げた。
しかし自分に何が起こっているのかわかっていない様子だ。俺がすぐ後ろにいることもたぶんまだ気づいていない。でもすぐに気づくだろう。
ふと思いついて手に持っている赤也のネクタイで、後ろからぎゅっと目隠しをしてやった。
突然視界を奪われた赤也は首を振って抵抗するので、ぎゅっと強く締め付けて後頭部で結び目を作った。

赤也は俺の足の間にすっぽりと収まって身動きが取れないため、首だけで俺を振り返る。

目隠しされた赤也は非道く扇情的で軽くめまいを覚えるほどにいやらしく美しい。

「や…なぎさん!?何するんスかぁ!?」

まんざらでもなさそうな、その声色。お前もきっとこういうのが好きなのだろう?

「口も塞いで欲しいのか?」

「ふぁっ」

赤也の口に人差し指と中指を突っ込んで喋れなくしてやる。
指で口内を犯すように動かしてやると口の端から唾液を垂らし、微かに喘いだ。

これだから俺はお前が好きだ。

机の上にあるケーキの生クリームを唾液がついたままの指で掬い取り赤也の口内へと押し込む。するとちゃんとそれを舐めとって、ごくりと喉を鳴らして飲み込んだ。
スポンジ部分も千切って食べさせてやる。俺に促されるままに食べる赤也。まるで俺が餌を与えてやらないと飢えてしまう動物のように。
空いているほうの手ではだけた胸の敏感な部分をいじめてやる。きゅっと摘んでやると、体がびくりと跳ねた。

「はぁ…柳さ…ん」

「なんだ?」

「これ…外して欲しいっス。」

そう言いながら見えているかのように肩をすくめながら俺の方を見つめる。
両腕は自由にしてやっているから外したければ簡単に外せるのに。本当にお前はなんて従順なんだろう。

「どうして?こういうのは嫌いか?」

「ち…ちが…!でも…柳さんの…顔…見たいから…」

クリームの匂いのする甘い吐息を吐きながら、そんな甘い台詞を吐かれては言うとおりにしてやるしかない。
頭の後ろの結び目をするりと解いてやった。
それと同時に赤也は体をひねって、俺の首に両手を回して俺を見た。
きつく縛っていたためか快感に潤んだのかわからないが、目じりが少し赤い。
目じりを指でさすってやりながら、口付けてやると嬉しそうに自ら舌を差し入れてきた。

甘い。

昨日食べたケーキでもう当分甘いものは要らないと思っていたのに。

赤也が深く舌を差し入れてくるのが可愛くて、その舌を吸ってやると早くも音を上げて甘い声で喘いだ。

いつだってお前は俺を腹一杯満足にさせる。

だが、胸をはだけて下半身を疼かせているお前を見ると、またすぐに腹が空くんだ。


これが女たちの言う別腹というやつなのだろうか。


さて、今からお前をいただくとしよう。






end…







***********
あとがき

THANKS4554&4567★

あ…れれれ。
リクエストに応えられていなかったらスミマセンッ。
柳さんを止められませんでした…orz笑
そして柳さんはこれからまだ残ってるケーキを使って赤也を美味しく戴くんだと思います。

20090622晴雨

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