パラ

□バースデー サスケの誕生日
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ピンポーン

うずまき家の中に鳴り響く音


本日、晴天なり
ここのところ、夏にしてはわりと過ごしやすかったのだが
いよいよ夏本番!というかのように
まだ午前中なのに日差しは強く、景色が熱気で揺れている
一体、昼からどんなことになるのやら・・・

とにかく、こんな日は家にいたいもんだ

そう彼も考えていたのだろう
扇風機の前に陣取り、だらだらしていた


ピンポーン

二回目

「ったく、誰だってばよ!
こんな暑い日にっ!一歩も動きたくないのにっ!」

ピンポー・・・ピポピポピポピポ

連打

「だぁーっ!うっせーっ!!
誰だってばよっ!こんな暑い日に!!!」

バンっと勢いよく玄関を開けたナルト

そのことに後悔した

「よう、ナルト」

そこにたたずむ人物 サスケ
さきほどのナルトの行為で顔にダメージを受けたのに
平然と立っている・・・鼻血は出ているが・・・

「じゃあ、そういう事で」
と言ってドアを閉めるナルト

が、サスケがそれを許すはずもなく
足でドアを止めた

「おいおい、何照れてんだ」
どうやらサスケは只今、ポジティブシンキング発動中のようだ

こんな彼に慣れてしまっている自分に嫌気を覚えつつ

「で?何?」

よくぞ聞いてくれたとばかりに、ニヤリと笑顔を浮かべるサスケ
それを見て寒気がしたナルト

「本日はお招きいただきありがとうございます」

「招いた覚えはねぇ」

「人から忘れがちの夏休み中の誕生日、
だったらオレん家来いってばよ!というナルトの心の声を聞き」

「勝手に人の心の声を捏造すんじゃねぇよ」

「はせ参じ候」

「侍っ!?」

「というわけで、お邪魔しまーす」

と家に入ろうとしたサスケ

「待て待て待てーっ!!何勝手に入ろうとしてんだよっ!?」

「来いって言ったのお前だろ?」

「違うっ!」

「・・・でも早くしないと、コレ溶けるんじゃないか?」
そう言って手に持ってる袋を上にあげた

「何、ソレ?」

「ケーキ」

(うわぁ、自分で買ってきてる・・・しかもホールで)

ちょっとかわいそうになってきたナルトは
サスケを家にあげることにした

++++++++++

「あー・・・不本意だけども
サスケ、誕生日おめでとってばよ!」

目の前のケーキのプレートに”HAPPY BIRTHDAY サスケくん”とか書いてある
当然本人が購入してきたもの、自分で店で頼んだんだろう・・・

ナルトはそこには触れないようにした

「どうも」

「・・・」

「・・・」

「じ、じゃあケーキ食べよっか!」

「待てっ!ろうそくでふーっ!というイベントがまだだろうがっ!!」

「何、そのイベントっ!!?」

「お前は誕生日の歌を歌え!
そしてオレはその後、歳の数のろうそくに灯した火を吹き消す!
願望を込めに込めてっ!!」

ナルトは正直、面倒臭いとも思ったが
こんなにもかわいそうなサスケの誕生日
今日くらいは言う事聞いてやろうと思った

「〜ハピバスデートゥーユー♪」

「ナルトがオレのモノになりますよーに
いや、もうオレのモンだから・・・

ナルトが素直にオレへの愛を・・・
いや、ツンデレってのもなかなか可愛いし・・・

ナルトがオレと・・・」

「サスケのヘンタイが治りますよーに!」

ふーっ!!!!!
見事に一発で全ての炎を消したナルト

「あーっ!!ちょ、ナルっ!おまっ!
何消してるんだよっ!!オレの誕生日だぞっ!
つーか誰がヘンタイだっ!誰がっ!!
愛ゆえの行動だろーがっ!ちょっと表現がおかしいだけじゃないかっ!!」

「うっせーっ!
人が黙って聞いてれば、なんつー願いを込めてんだよっ!!」

「じゃあどんなのがいいんだよ」

「う・・・とにかく、オレの事以外でっ!」

「じゃあ、ナイ!」

「!?///」

サスケのこの言い切りにちょっとドキリとしてしまったナルトは自分に頭を抱えてしまった

「どうした?ほら、お待ちかねのケーキだぞ!」

そういえば・・・と考える

「サスケって甘いのダメなんじゃ・・・」

「全部食っていいぞ
お前のために買ってきたんだからな」

ナルトにはサスケの行動がよく分からない

自分の誕生日に自分の嫌いな甘いものを持って
こんな暑い中やって来た

変なヤツ・・・と思いつつも
なんだか心がほんわり踊りだす

(あーなんつーか・・・こう・・・嬉しい?)

顔がにやけそうになるのを慌てて抑える

「お前さ、ホント意味わかんねぇ
来るなら来るって言えってばよっ!
急に来やがってさ!プレゼントもなんもねーってばよ」

「いらねぇよ
あ、違うな・・・もう、もらってる・・・かな
今この瞬間の幸せってやつを?」

「くせぇ///
キザ///
バカだろ、お前///
絶対ぇバカっ!つーかヘンタイ」

つい口をついて出る言葉は決して甘くもないけれど
顔は嬉しそうに笑っているナルト

「さっきのはヘンタイの要素ないじゃねぇか、ウスラトンカチ」

「いや、サスケはヘンタイっ!これは覆せない事実だってばよ!」

「だから違っムグ・・・」
サスケが口を開いた瞬間
ナルトはその口にケーキのイチゴを押し込んだ

「プレゼントだってばよ♪」

「甘っ!
でも、もう一回・・・あーん」

えーなんて言いつつも、ナルトはイチゴを差し出した


END


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