クリスマスフリリク
□『俺だけ』
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※ツナ高3設定
「ただいまー」
「遅かったな。どこか寄ってたのか?」
「ちょっと雲雀さんのとこに」
授業が終わり、山本は部活、獄寺くんはビアンキが現れてどこかに逃げて行った。
まっすぐに帰ろうと思っていたら雲雀さんが目の前に立っていて、ちょっとおいでと言われたら逆らうわけにもいかず付いていった次第だ。
連れて行かれた場所はもう俺にとっては懐かしいとしか思えない並中の応接室で、まだここ占拠してるんですかと笑えば思いっきり睨まれた。
そこで話したのは来年のことで、いよいよイタリアに行く日が近づいてきたのかと改めて思う。
先に高校を卒業した了平さんと雲雀さんはイタリアと日本を行き来しながら生活していて、俺が十代目を襲名する準備を進めてくれていた。
「なんか問題でもあったのか?」
「特には無かったよ。あと、これ貰った」
中学のときから変わらない自室の机に、ことりと小さな瓶を置く。
可愛らしいチェックの蓋の瓶には、綺麗なオレンジ色のジャムが入っていた。
「リボーンにお土産だって」
雲雀さんてマメだよね、と笑うも、心は穏やかではない。
リボーンは瓶を開けると小さな指でジャムをすくい、ぺろりと舐める。
甘い、ととろけるような顔で微笑む姿は俺じゃなくて雲雀さんのお土産に対してのものなのだ。
「雲雀は俺の好みが分かってるな」
ふふ、と笑うリボーン。
月に何度も渡伊しているのに、雲雀さんはその度にリボーンにお土産を買ってくる。
それは今回みたいに食べ物だったり、ワインだったりもするが装飾品の類の時もある。
アクセサリーなんて興味が無いのかと出合って数年思い込んでいたので、雲雀さんから貰ったブレスレットをきらきらした瞳で眺めるリボーンを見てショックを受けたのは最近のことだ。
ちなみにそのブレスレットは毎日身につけられている。
…正直、気にくわない。
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