無我夢中、悪戦苦闘。
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「っあ………く…」

テレビに向かって一心不乱にしてます。

「………」

ナニを?

「んっ、………んぁっ」

違います。

「………」

「はっ………くぁっ…」

「いちいちエロいこえだすなぁああっ!!!!!!かずなりゃああっ!」

ただのゲームです。



無我夢中、悪戦苦闘。



「…………だってサクラ強いから………色仕掛け?」

「もうすごくダメージですっ!!」

「…ああっっ!!また負けたぁっーーッ」

テレビゲームをしていただけですよ。

スー〇ーマ〇オブ〇ザーズの対戦のやつですが、連勝しまくっております。

それなのにこの隣の色男、連続で負けたの悔しいのか色仕掛けなんかしてきやがったのです。

効果抜群ですよ、悪いかっ!!

もう気がきじゃない。

「色仕掛け、失敗」

「いいえもう十分間に合ってますから!!!!!」

「えーー………」

「まじで、なんでたかがゲームでそんなエロいこえだせるんだ……」

「一応演技派嵐ですんで」

「……ありえん。ありえんありえんんーッ!!」

「つかサクラこそ何でそんなに強いんですか!」

身を乗り出して、怒るからびひった。

「ほらうち弟いるじゃねぇか。そいつらがゲームばっかするから……つられて…」

「そんなつまんない理由で抜かされてたまるかっつうの!」

「八つ当たりはやめよう」

「………くやしい…」

「……じゃあ、私やめるわ」

ぽいっとコントローラを放り投げる。

「悔しいっていわれたらやめるしかないかなら」

「…………ごめん…」

「………………あー…そんな悲しそうな顔すんなよー」

よしよしと頭を撫でる。

「……だって、悔しいじゃん?彼女よりなにか劣ってたら………ゲーム、好きなことなのにさ」

「まぁ…私が上手すぎるだけだっ!」

「そんなこといわれても嬉しくねぇよ」

「……それじゃ私も言わせてもらう。和也の方が、できること多いじゃねぇか。芸能人だし、歌もダンスも、全部すげぇじゃん…私は何もできないから和也の好きなことに勝てて嬉しいんだ」

「………そうだけどぉー」

ぷく、と頬を膨らます和也。

「どっちが男なんだか」

そう、笑った。

「サクラが男前すぎんだよ!」

「まぁ、弟だらけの家出身だからな」

「ヤマグチ家は男前しかいねぇな!」

「失礼な」

ケタケタ笑いながら頭をくしゃくしゃにする。

「……よしっ、もっかい!」

「お、勝てんのか?」

「勝てる!!なんかパワーもらったから!」

「そ、じゃぁ」

身を乗り出して薄い唇にキスをした。

「私もパワー充電っ」

「………男前すぎだろー」

真っ赤になっている和也をほったらかしにさっさとゲームをはじめる。

「………しかえし」

ぐい、と肩を捕まれて目の前に和也の顔。

「っ!」

放心状態。

「っあ」

あわててコントローラをもってもおそい。



━無我夢中、悪戦苦闘。
(勝ったぁっ!)
(ちょ、あれは反則だろ!?)
(はて)
(知らんぷりすんなぁっ!!)

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