エッセイ集

□数字いろいろ
8ページ/18ページ

0人/20人,2人/16人



自治体職員の臨時採用員数(毎日新聞(平成21年1月14日)。
川口市が,平成20年12月24日から20人を募集するものの,平成21年1月13日までで応募者は0人。
行田市が,同月5日から16人を募集するものの,同月13日までで応募者は2人。



リーマンショックから始まった不況による一連の派遣社員等非正規労働者を中心とした人員削減に対応する方策として,複数の自治体で,臨時職員の募集を始めました。
しかしながら,実際には前記のとおり,応募者は少ないようです。
その理由に関し,短期労働では,再びいつ首が切られるか分からないことから,応じなかったのではないか,という労組の人の話が出ていました。

個人的には

(1)臨時に雇うと言っても,給与は税金から出すので,その予算をどうするか。

とか

(2)採用に時間をかけるわけにはいかないので,能力的に疑問がある人に給与を支払うことは,納税者の立場からすれば,疑問がある。

とか

(3)臨時に雇うと言っても,いつか,辞めてもらうときがくるので,そのとき,次の職場が見つからないときはどうするか(そのようなときは再雇用するのだということになれば,転職先探しを一生懸命しなくなってしまう)。

という問題が思い浮かんできたので,行政機関の職員に臨時採用をすることには疑問がありました。
ですから,前記のような結果については,ある意味良いことだと思っています。

このような問題が生じると,すぐ行政がどうにかしろというような意見が出てきますが,常々疑問に思っているのは,どうも,その財源をどうするか,という考慮がまったくないような意見が多いような感じがすることです。

以前,暮らしていた場所で自治会の役員をしていたことがありました。
その地域では小学校の課外活動に自治会等が関与する試みをしていたのですが,その試みに関する会議に出席した際,地元選出の地方議会の議員の話を聴くことがありました。
そこでは,小学校の課外活動で,児童が学校の備品を壊した場合にどのような対応をするかが問題となりました。
その議員さんは,「学校は子どものためにあるし,子どもが失敗するのは当たり前なのだから,ピアノくらい壊すのは仕方ない。壊れたときには自治体ですぐ買い換えれば良い。」との話をしていました。
しかし,自治体で買うということは,税金を使って買うという話であって,議員をやる人の公金に対する感覚について勉強する良い機会となりました。



私たちの社会には,解決しなければならない問題が多くあります。
そして,私たちは,自分たちのやることによる効果・影響を事前に十分把握することは困難です。したがって,効果が十分保証されない政策であっても,差し当たり行わなければならない事態は少なくありません。けれども,そもそもコスト感覚がないのであれば話になりません。

政策のコストを誰がどのようにするのかという点にも十分な考慮をして欲しいものです。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ