エッセイ集

□数字いろいろ
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2007年の統計による日本の女性が一生の間に産む子供の数。

一時ほどではありませんが,時折,「少子化問題」が取り上げられます。
高齢者を支える人が経ることがまず問題とされますが,もっと露骨なものもあります。

たとえば,アサヒビール会長の樋口廣太郎は

「今後の半世紀の日本で最大の問題は(略)人口減だよ。だって君,胃袋が減るんだぞ。」

と言います(河内孝『新聞社』30頁)。

一方で,人口増加も問題であるという言い方もされます。
たしかに,二十数年前(管理者が小学生のころですが)は

人口爆発

の問題がよく言われていたように思います。

先日,新聞の書評欄(毎日新聞2009年1月11日)を見ていたところ

グナル・ハイゾーン『自爆する若者たち』

の分析によれば

テロや戦争の原因は若者の人口増加

であるとされます。
若年人口が増加した場合,その人工を吸収できるだけの就職先がないために

?国外移住
?犯罪
?国内クーデタ
?内戦・革命
?集団殺害と追放
?越境戦争

に向かうのだという。

たとえば

1950年から2008年までの間にガザ地区の人口は24万人から150万人に増えている

ところ,これを日本の人口に当てはめると,現在の人口は1億2700万人ではなく

5億2000万人

になるのだそうです。
そうなると,確かに,失業などのがめちゃくちゃに増えそうです。住む場所もなくなりそうですし。

「文明の衝突」のハンチントンも,晩年は

暴力の担い手になるのは,どこでも若い男性であり,宗教や文化よりも「驚異的な人口増加率」によってイスラムの復興が支えられているという考えに変わっていったようです。



少子化問題が目に付く度に思うのは

人間というのは本当にどこまでも生きているべきものなのだろうか

ということです。
やはり,高齢者をいかに支えるかということが本筋の問題ですから,少子化問題問題は,高齢化社会問題の裏返しのように思えるのです。
私たちは,どこまでも生きていたいと思うものです。

時折,人生の意味について考えてしまうものですが,考えた先に人生が無意味であると思うに到りながらも,自分の心の奥底に端的に「生きたい」という欲望を見ずにはいられません。

ただ,同時に

人間がいつまでも生きているのはそれも不自然であり,いつか自分で自分にけりを付けるべきなのではないか

という気もするのです。

老人介護の世界は,日常生活を送っている者の目から見ればすさまじい場面もあります。
たとえば

摘便

「便を摘出する」ということなのですが,年を取ると,便の水分が減るので排泄が困難になってきます。
それでどうするのかというと,まずは,便秘薬を飲ませるわけですが,それで駄目なら

直接指で掻き出す

ということになります。
これが摘便です。



私は,そうまでになってまで生きたいとは思わないのですが……。
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