エッセイ集
□数字いろいろ
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1日5杯以上
科学の発展の歴史は,科学の誤りが暴露される歴史である
という逆説に興味があります。
先日、コーヒーについて
男性のすい臓がんのリスクを下げる可能性がある。
コーヒーをほぼ毎日飲む人は、男女ともリスクが約半分に減少した。
1日の摂取量が増えるほど発生率が低下し、1日5杯以上飲む人は、まったく飲まない人に比べて、肝がんの発生率が4分の1まで下がる。
女性の結腸がんや子宮がんでも、コーヒーをたくさん飲む人ほど、がんの発生率が低いといわれています。
とがんのリスクを下げる食品として取り上げる記事を目にしました(中川恵一東京大学付属病院准教授「Dr.中川のがんを知る実践編61」『毎日新聞2009.1.6』)。
しかし、しばらく前までは、コーヒーの飲用は発がん性を高めるという考え方も有力に主張されていました。
たとえば、IARC(国際ガン研究機関。1960年にWHOの付属機関としてガンの国際共同研究に助言することを目的に設立)が2001年に発表した
発がん性分類
によると
コーヒーは
グループ2B(発がん性があるかもしれない)
に分類されています。
このようなかつての議論からすると、先の記事には違和感を感じます。
もちろん、後々、この記事に出てくるような内容も誤りだ、という議論も出てきうるでしょう。
私たちは、専門化の知見に頼らなくてはなりません。
しかし、将来的に誤りとなる可能性があることからすると、どんな専門的な知見であれ、究極的には、私たち一人ひとりが自覚的に取捨選択しなければならないのです。