エッセイ集

□数字いろいろ
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4995人



2007年度に精神疾患で休職した公立学校の教員の員数。前年比320人増。全教員の0.55%(『毎日新聞2008.12.26』)。
やや旧聞に失した感はありますが,精神疾患の大多数は鬱病だそうですが,中には統合失調症もあるとのことだそうです。
文部科学省によると,その原因は
(1)従来の指導方法が通用しなくなり,自信を失う。
(2)保護者との関係が変化し,説明を受けとめてもらえず,悩む。
(3)業務の多忙化や複雑化。
(4)家庭の事情
など複数絡むケースが目立つそうです。

(1)の要因は,やはり,まじめな人だと陥りやすいのかな,という気がしますし,(2)の要因は,昨今の「モンスターペアレント」の問題を考えると納得がいきます。
それ以上に無視できないのは,(3)の要因です。
「知識教育の復権」での議論とも絡みますが,現在の公教育制度は,余りにも「成し遂げなければならない事柄」を増やしすぎています。
できればよいことはたくさんありますが,多様性と予測の困難性を多分に含む人間を相手にするものである以上,「成し遂げねばならないこと」と「できたら儲けもの」というものをきちんと区分しておかないと,現場教員自体,「ただのサラリーマン」なのですから,処理できるわけではありません。
多様な価値観から何を切り捨てるかを明確にしなくては,教育が極めて不効率な事業となり,結果,教育に対する不信が広がっていく悪循環が生じます。

他方で,現場の教員の保護を進めることにも疑問を感じます。
やはり,教員の不祥事も増加しているのであって,教員に対する監視や管理を強化しなければならないのも当然です。
過保護は許されるべきではありません
先に取り上げた記事に隣り合わせて出た記事には,2007年度に懲戒処分を受けた教員を含む地方公務員の数は

2万0326人

また,免職・休職させる「分限処分」を受けた公務員の数は

2万2686人

との数字が出ていました。
確かに,1月に2〜3回は,教員の不祥事に関する記事が新聞に取り上げられているような感じもします。

公務員の方と話などをしてふと思うのは,「社会のために」という気持ちはある一方で,「不断に監視,批判されることが当然である」という感覚がないこと。
社会のためにやっているのだから感謝されて当然。教育者として感謝されて当然。
このような感覚が強いためか,批判に対して弱い。
しかし,税金で生活費を得ている以上,きちんと仕事をしているのかどうか,一般市民から批判的な目で見られるのは当然です。
公務員,特に,公立学校の教員は,一般的に労働組合が強く,そのため,自らの既得権益の保護が当然という感覚に陥り,仕事に対する厳しさに欠け,結果として,批判を受けた場合には,それに対する反発心を持ったり,過度のショックを抱いたりするのではないでしょうか。

私たちは,がんばる人たちを暖かく見守らなくてはなりません。
しかし,当のその相手も,そのような視線を当然のものと思ってはいけないでしょう。
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