エッセイ集

□読書ノート
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レビュー:渥美東洋「取調べの適正化;とりわけ電子録音・録画=いわゆる可視化について」『判例タイムズ1262号』40ページ



取調べの全面録音録画を求める論考で,結論,論証は,この種の問題についてありがちなもので,詰まらない。
興味を引いたのは,次の点。
(1)英国における黙秘権の制限等の制度の摘示
「英国では(略)後に被告人が抗弁として公判で用いた事実について,警察の取調べで沈黙していたことを被告人に不利な推論根拠に用いることを許し,また,身体から発見されたか,着衣から発見されたり,付着していた,犯罪行為を疑わせる物,マーク,薬物,禁制品等について沈黙していたこと,さらには犯行現場に犯行時に所持していたことにつき沈黙していた事実を公判での立証,審理,事実認定にあって被告人に不利な推論根拠に用いることも(41ページ)許していることにも注目すべきである。」
ただし,このような英国の制度は,既にいくつかの論考で取り上げられている。
(2)英米法圏における刑法観
「英米法諸国をはじめ世界の大半の諸国が構成要件論から刑法理論を出発させたり組み立てたしてはいないことは,今日では,ここで言及するまでのこともないであろう。」
忘れかけていたことを思い出させるが,これも論者が言うように常識であろう。
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