行政関係訴訟の要点

□国家賠償請求訴訟の要点
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《国賠法4条》その1

【4条の趣旨】

 公権力の行使及び公の営造物の設置管理についての損害場使用については,国賠法に規定されていない制度的技術的規定については,民法の規定を補充的に適用する。

【時効】

援用
→国賠法1条に基づく損害賠償請求権についての消滅時効は,民法145条の規定(時効の援用)の適用がある(最高裁昭和46年11月30日第三小法廷判決・民集25−8−1389)。

援用権の濫用
→時効の利益を受ける債務者は,債権者が訴えの提起その他の権利行使や時効中断行為に出ることを妨害し,債権者において,権利行使や時効中断行為に出ることを事実上困難にしたなど,債権者が期間内に権利を行使しなかったことについて,債務者に背宜来事由があり,債権者に権利行使を保障した趣旨を没却するような特段の事情があるのでない限り,事由に消滅時効を援用することができる(東京高裁平成15年5月27日判決・訟務月報50−7−1971)。

時効の起算点
→トンネル建設工事において粉じん作業に従事していた労働者が塵肺に罹患したことについての国の規制権限不行使に基づく国賠法上の損害賠償請求権の消滅時効の起算点について
 1 本件塵肺患者らが民法724条前段の「損害を知った」といえる時点は
(1)最終の行政上の決定(管理区分の決定)を受けた時
(2)(1)の後に法定合併症の行政上の認定を受けたとき
(3)(1)もしくは(2)の後に,塵肺を原因として死亡した場合には,死亡時
と解するのが相当である(東京地裁平成18年7月7日判決・判時1940−3)。
 2 本件塵肺患者らが民法724条前段の「加害者を知った」といえる時点は
 筑豊塵肺訴訟の控訴審判決が言い渡され,それが広く報道された時点
と解するのが相当である(前掲判決)。
 3 東京高裁平成19年7月26日判決(公刊物未搭載)(横須賀爆雷保険者代位訴訟控訴審判決)
 国の責任原因とされる行為が爆雷埋設土地の譲与の際の告知すべき事項の不告知という第三者からは認識し難い不作為の形態で行われたことからすると,本件爆雷をめぐる経緯その他の事情について,事情を知る者から教示を受けたり,何らかの公権的判断が示されるなどの特段の事情がない限り,被害者が上記不作為の事実やそのことが義務違反であると評価すべき事を認識し得たとは認め難く,本件においてはそのような特段の事情は認められない。
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