行政関係訴訟の要点

□国家賠償請求訴訟の要点
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《権限行使》
問 権限行使について,違法性が認められる要件を挙げよ。



答 以下の2つの要件が充足される必要がある。
(1)個別の国民に対する職務上の法的義務の存在
(2)その法的義務の違背の結果,法益の侵害があったこと
 ※ 公益上の目的から行われる職務行為によって第三者が事実上受ける利益は,法律上保護された利益とはいえない(最高裁平成2年2月20日第三小法廷判決判時1380−94)。



《権限不行使》
※「規制権限」と「作為義務」を検討する。

問 裁量に属する行為に関する権限不行使について,違法性が認められる基準に関する考え方にはどのようなものがあるか。



答 以下のような見解がある。
(1)裁量権消極的濫用論(判例)
 規制権限の行使が行政庁の裁量に属する場合でも,権限不行使の裁量が著しく合理性を欠き,裁量権の消極的濫用ともいいうる場合には,権限不行使が違法となる。
(2)裁量権収縮論
 規制権限の行使が自由裁量に属する場合でも,一定の場合に権限不行使の裁量権が収縮,後退して権限行使が法的義務となる。



問 権限行使につき裁量が認められる場合に関する裁判例は,どのような類型に分かれるか。



答 以下の3つの類型が考えられる。
(1)要件定立型 =規制権限行使が義務づけられる要件を定立するもの
(2)要件例示型 =要件を例示するもの
(3)要件不定立型=要件を定立しないもの



問 要件定立型において,挙げられる要件としてはどのようなものがあるか。



答 以下のような要件が挙げられる。
具体的危険切迫性,重大性
具体的危険切迫の認識ないし予見可能性
具体的危険性の回避可能性
規制権限行使の補充性
規制権限行使の期待可能性



《省令制定権限不行使》

問 省令制定権限の不行使が問題となった最高裁判例を挙げよ。



答 最高裁平成16年4月27日第三小法廷判決民集58−4−1032
「国又は公共団体の公務員による規制権限の不行使は,その権限を定めた法令の趣旨,目的や,その権限の性質等に照らし,具体的事情の下において,その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは,その不行使により被害を受けた者との関係において,国家賠償法1条1項の適用上違憲となるものと解するのが相当である。」
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