法律

□民法総則
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《通謀虚偽表示》(2)

4 適用範囲

(1)相手方のある単独行為
 →適用あり

(2)相手方のない単独行為
 →適用なしが原則

※例外(四宮160は,94条1項を類推適用し,無効と解すべきという)

@複数者が共同目的の追求に際して出演行為を仮装した場合(財団法人の出捐につき,最高裁判所昭和56年4月28日判決・民集35巻696ページ)
A利害関係人と通謀して単独行為を仮装した場合(他の共有者と通謀しての共有持ち分の放棄の仮想につき,最高裁判所昭和42年6月22日判決・民集21巻1479ページ)

(3)身分行為
→適用なし。
・大審院明治44年6月6日判決・民録17巻362ページ(養子縁組)
・大審院大正11年2月25日判決・民集1巻69ページ(離婚)

※身分関係の本質上,94条1項の適用をまつまでもなく,無効であるということ。善意の第三者の保護が問題とならないという意味(我妻T294)。

(4)要物契約
 →適用あり。
・大審院昭和8年9月18日決定・民集12巻2434ページ(消費貸借)
・大審院昭和6年6月9日判決・民集10巻470ページ(質権設定)
※物の交付がなく,理論上は,そもそも契約として成立していないことから問題となる(四宮168)。

(5)農地が仮装名義人に登記されている場合に,それを相手になされた農地買収には,本条2項は適用されない。

94条2項は,私法上の取引の安全を図る制度であり,権力支配作用である農地買収処分には,適用されず,真実の権利者からその取消を求めうる(我妻T294,最高裁判所昭和28年6月12日判決・民集7巻6号649ページ)。
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