法律

□民法総則
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錯誤(1)



第1 概要

1 意義

錯誤とは,(意思表示の生成過程に表意者の主観と現実の間の食い違いがあるため,)表意者の意識なく表示(表示上の効果意思又は表示の持つ意味内容)と真意との不一致が生じている意思表示のことをいう(教材99,四宮173,加藤T251)。

意思主義,すなわち,意思表示が有効になされるには,表示に対応する意思がなくてはならないとする原則に由来し,錯誤のある意思表示は,原則として無効とされる。

2 要件

@意思表示に錯誤があること
A法律行為の要素に錯誤があること
B表意者に重大な過失がないこと

3 効果

無効

第2 要件

1 錯誤の態様(四宮175)

(1)動機の錯誤=表意者の意思形成に際し,錯誤を生じたもの

 ア 狭義の動機錯誤=意思形成の間接的な目的ないし理由に関する錯誤
※時計がなくなったものと誤信して時計を買う,婚約の破棄を知らず結婚祝を買う。

 イ 属性に関する錯誤=意思形成の対象たる物や人の属性に関する錯誤
※模造品を本物と誤信して買う,物の価格を誤信して買う。
   
(2)表示行為の錯誤=意思を決定してから表示行為に至る過程で錯誤が生じるとき
 ア 内容の錯誤(表示行為の意味に関する錯誤)
※相手方又は一般人が受け取るのと違う意味を自分の表示行為に結び付ける場合。ドルとポンドを同価値だと誤信して10ポンドのつもりで10ドルと書く。

 イ 表示上の錯誤(表示行為そのものに関する錯誤)
※誤記等
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