法律

□民法総則
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《通謀虚偽表示》(4)

イ 意思外形対応型―外形他人作出型

第三者の信頼した外形は他人が作出したもので,権利者の意思と食い違う場合であっても,権利者がその外形をあとから承認したときは,その第三者は94条2項類推適用によって保護される(四宮170)。

(ア)最高裁判所昭和45年4月16日判決・民集24巻4号266ページに基づく四宮170の作例

未登記の建物の所有者AがB名義とすることをBに許容したところ,BがC名義で登記してしまった場合に,AがC名義のままであることについて承認を与えていたときは,Cを権利者と信じて譲り受けたDに対し,Aは,Cが無権利者であったことをもって対抗できない。

(イ)最高裁判所昭和45年9月22日判決・民集24巻10号1424ページ(百選T21事件)

Aの不動産の登記をBが勝手にB名義に移したのを知りながら,Aは登記の抹消を4年余りにわたって放置し,その間,Aの債務を担保するためにB名義のままその不動産に根抵当権を設定した事案について,94条2項を類推適用して,Aは,Bからの善意の譲受人に対し,Bに所有権移転のないことを対抗し得ないとした。

(ウ)最高裁判所昭和48年6月28日判決・民集27巻6号724ページ

Aの未登記の建物が職権によって固定資産税課税台帳に誤って当時夫だったB名義に登録され,Aはそれを知りながら,8年にわたってA名義で固定資産税を納入していたところ,Bの債権者Cがその建物に強制執行した事案について,Aの明示又は黙示の承認があるとして,94条2項の類推適用を肯定した。
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