法律

□不法行為法
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第1 総説(2)

7 類似する制度との相違
(1)契約・事務管理
契約・事務管理と同様,人の行為である。
契約・事務管理と異なり,法の許さない違法な行為である。
(2)損失補償
損失補償は,適法な行為によって他人に損害を与えた場合に,その損害を填補するもの。
(3)債務不履行
以下,S=債務不履行,F=不法行為
・人間関係
S 既に債権債務の関係で結び付けられた者との間の関係
F なんら特別の関係を前提としていない
・立証責任
S 有責性のないことを債務者において立証
F 有責性のあることを被害者(債権者)において立証
・消滅時効
S 原則10年
F 3年(除斥期間20年)
・相殺
S 可能
F 加害者からは不可能

8 指導原理=特に,故意過失の点を中心に
(1)過失責任の原則
不法行為の要件として故意又は過失を必要とすること。
原則的な指導原理。
(2)危険責任
危険な施設の所有者は,これから生じる損害については絶対的責任を負うべきとする考え方(我妻・有泉コメ1286頁)。
本法では,717条がその例。
(3)報償責任
大きな利益の帰するところに損失も帰せしめるべきであるとする考え方(我妻・有泉コメ1286頁)。
本法では,715条がその例。
(4)過失があれば,全損害を賠償しなければならないとすることが却って公平に反する場合の例外
・(2),(3)が「過失なければ責任なし」とすることが公平に反する場合の例外であるのに対し,その反対の場合がある。
a 失火責任
b 過失相殺
c 慰謝料の算定
(5)民法以外の特別法による無過失責任立法
a 鉱業法における「鉱害の賠償」(109条)
b 労働基準法における災害補償(労働基準法75条〜88条)
c 独占禁止法25条
d 自動車損害賠償保障法3条の運行供用者責任
e 原子力損害の賠償に関する法律3条
f 大気汚染防止法25条障法うほうしほううが
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