法律

□租税法雑記帳
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【更正通知書等の理由付記(法人税法130条等)】

※東京地方裁判所平成21年2月3日判決(公刊物未搭載)14ないし15ページ
「そもそも法130条2項が更正通知書に更正の理由を付記しなければならないと規定しているのは,更正処分庁の判断の慎重,合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,更正の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与える趣旨に出たものというべきであり,帳簿書類の記載自体を否認することなしに更正をする場合においては,更正通知書の更正の理由が,更正の根拠を更正処分庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という理由付記制度の趣旨目的を充足する程度に具体的に明示するものである限り,法の要求する更正理由の付記として欠けるところはないと解される(最高裁判所昭和60年4月23日第三小法廷判決・民集39巻3号850ページ参照)。そこで,検討するに,証拠(甲2,3)及び弁論の全趣旨によれば,本件各更正処分等に係る法人税額等の更正通知書及び加算税の賦課決定通知書には,更正の理由として,原告が保有しているA社及びB社の各株式が「関係法人株式等」に該当すること,前期末及び当期末の関係法人株式等の帳簿価額の計算上,これらの株式の帳簿価額が含まれていないのでそれぞれ加算したこと等が記載された上,関係法人株式等の正当な帳簿価額,受取配当等の益金不算入額を再計算した結果等が記載されていることが認められる。そして,前記争いのない事実等(略)記載のとおり,原告は,法23条5項に規定される関係法人株式等として,(略)A社、B社及びC社の各株式を保有していることを前提とした上で,法23条1項,4項2号に基づく受取配当等の益金不算入額を算定するに当たって,施行令22条2項2号の掲げる「法第23条第4項に規定する関係法人株式等」の帳簿価額を,配当のあった日華の株式の帳簿価額のみとしたことが認められる。そうすると,本件各更正処分等の理由は,原告に対し,本件各更正処分等の法律上及び事実上の根拠を具体的に示したものであるということができる。(中略)したがって,上記理由の記載は,麻布税務署長の判断過程を省略することなしに記載したものということができ,更正行政庁の恣意抑制及び不服申立の便宜という理由付記制度の趣旨目的を充足する程度に具体的に明示したものとして,法130条2項の要求する更正理由の付記として欠けるところはないというべきであり,ほかに本件各更正処分等に理由付記の不備があり違法であることを認めるに足りる証拠はない。したがって,(略)原告の主張は,理由がない。」
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