法律

□出入国管理及び難民認定法の概要
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《入管関係公法行為の処分性》

1 入国審査官の認定の取消
※「処分性」を肯定するのが判例・実務(東京高裁平16年3月30日判決訟務月報51巻2号)。
※認定の違法性は,裁決や退去強制令書発付処分に承継されない。
 したがって,裁決の違法性を争うときに問題となるのは,裁決独自の判断である在留特別許可(50条1項)の違法性等に限られることになる。
2 特別審理官の認定
※行訴法3条3項の「裁決」に該当。
※判定固有の違法(=「判定手続の違法」等のみが審理判断の対象となり,原処分に当たる認定の違法事由は主張できない。)
3 法務大臣の裁決
※行訴法3条3項の「裁決」に該当(東京高裁平成16年3月30日判決・訟月51巻2号)。
※実務上,「入国審査官の退去強制令書発付処分の取消」とセットでなされる。
※在留特別許可を付与すべきだったのにしなかったことは,裁決固有の違法事由として,裁決の取消訴訟において主張できる。
※認定の判断の誤りを法務大臣の裁決の違法事由として主張することはできない。 

 判断方法=「法務大臣の判断が裁量権を付与した目的を逸脱し,又はこれを濫用したと認められるかどうか」を判断する。
 ※「法務大臣と同一の立場に立ち,在留特別許可をすべきであったかどうかについて判断するのではない。」
 判断基準=法律上当然に退去強制されるべき外国人について,なお我が国に在留することを認めなければならない積極的な理由があったにもかかわらずこれが看過されたなど在留特別許可を設けた法の趣旨に明らかに反するなど極めて特別な事情が認められる場合に限られる。
 長期滞在=「違法状態の継続にほかならない」のであるから,「直ちに法的保護を受け得る筋合いのものではない。」

4 入国審査官の退去強制令書発付処分の取消
※実務上「法務大臣の裁決の取消」とセットでなされる。
※若干処分性に議論はあるものの,処分性を認めるのが実務。
※「違法は承継されない。」
※「先行行為」である「認定」及び「判定」の判断の誤りを違法事由として主張できない。
※「在留資格変更不許可処分」(20条3項),「在留期間更新不許可処分」(21条3項)の違法性を理由として主張することも出来ない(裁判例)。
※退去強制令書の発付処分について,主任審査官には,「効果裁量」も「時の裁量」もない。
※送還先の指定に係る違法
 ・抗告訴訟の対象となる。
 ・同部分のみが取消の対象。
※退去強制の継続中に生じた事情
 別途,当該事情を違法事由として,「退去強制の取消し」を求める。
※「出国」した場合,「再上陸」が認められるような事情のない限り,訴えの利益を欠く。
※出訴期間=事実行為としての退去強制の終了の日から計算。

5 入国警備官の退去強制の取消
※退去強制は,即時強制(直接強制ではない)である。
※行訴法3条2項の「その他公権力の行使に当たる行為」に該当する。
※正確には,「入国警備官の退去強制令書の執行の取消」となるようにも思うが判然としない。
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