法律

□出入国管理及び難民認定法の概要
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《在留特別許可》(50条1項,61条の2第2項)

【法務大臣による許否の判断方法】
 在留資格未取得外国人が,法24条各号の退去強制事由に該当する者であることを前提にした上で,法務大臣が,当該在留資格未取得外国人の在留を特別に許可すべき事情があるか否か,具体的には,当該在留資格未取得外国人の滞在中の一切の行状等の個別的事情のみならず,国内の治安や善良な風俗の維持,保健衛生の確保,労働市場の安定等の政治,経済,社会等の諸事情,当該外国人の本国との外交関係,我が国の外交政策,国際情勢といった諸般の事情をその時々に応じ,各事情に関する将来の変化の可能性なども含めて総合的に考慮し,我が国の国益を害せず,むしろ積極的に利すると認められるか否かを判断して行わなければならない
【法務大臣による裁量】
 在留期間更新の許否に関する裁量の範囲よりも質的に格段に広範なもの。
(理由)
(1)規定ぶり
 法50条1項及びの61条の2第2項は,在留特別許可の要件につき,「在留を特別に許可すべき事情がある(中略)と認めるとき」と規定するのみで,何ら具体的に規定していない。そして,この定め方は,法21条3項が,在留期間の更新について,「在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるとき」に許可することができると規定して,「相当性」という要件を定めているのと比較しても,極めて広範な裁量を認めたものというべきである。
(2)文言
 「在留を特別に許可することができる」と規定しており,同条に基づく在留特別許可については,法務大臣に,許可するか否かという効果についても裁量が認められている。
※法務大臣から権限の委任を受けた地方入国管理局長にも妥当する
【法務大臣による在留特別許可を付与しない判断が違法とされる場合】
 極めて広い裁量を有している。
→法務大臣等の判断が裁量権の逸脱濫用に当たるとして違法とされるような事態は,容易には想定し難い。
→法律上当然に退去強制されるべき外国人について,なお我が国に在留することを認めなければならない積極的な理由があったにもかかわらずこれが看過されたなど,在留特別許可の制度を設けた法の趣旨に明らかに反するような極めて特別な事情が認められる場合に限られる(東京高裁平成12年6月28日判決・訟務月報47巻10号3023ページ以下(上訴あるも確定))。
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