法律

□行政法雑記帳
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【公用財産の時効取得と黙示の公用廃止】

行政財産は,直接に国の行政目的に供される財産であって,原則として,私権の設定等が禁じられており(国有財産法18条1項),時効取得の対象とはならないと解されており,この点において,普通財産とは異なっている。
しかしながら,公共用財産が,@長年の間事実上公の目的に供用されることなく放置され,A公共用財産としての形態,機能を全く喪失し,Bその物の上に他人の平穏かつ公然の占有が継続したが,そのため実際上公の目的が害されるのようなこともなく,Cもはやその物を公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合には,いわゆる黙示の公用廃止が認められ,取得時効の対象となり(最高裁昭和51年12月24日第2小法廷判決民集30巻11号1104ページ),上記@ないしCの要件に適合する客観的状況は,時効の基礎となる自主占有開始の時までに具備されていなければならないと解されている(広島高裁昭和61年3月20日判決訟務月報33巻4号839ページ,大阪高裁平成4年10月29日判決訟務月報39巻8号1404ページ)。
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