法律

□国家賠償法雑記帳
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国賠法1条1項における主体(国,公共団体)相互の関係

【宇賀】
公共組合,特殊法人又は独立行政法人の行為については,当該行為の公権力該当性が肯定されれば,国家賠償法にいう「公共団体」に当たると通常解されており,公共組合,特殊法人又は独立行政法人の概念いかんはそれほど重要ではないとされる(宇賀・国家補償法32ペー)。
通常の独立行政法人が「国民生活(中略)等公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって,国が自ら主体となって直接に実施する必要のないものの(中略)」を予定している。(深見96ページ。通則法2条1項)

【深見】
 主務大臣と独立行政法人との関係が問題になるが,(中略)行革大綱においては,独立行政法人制度を設けるに当たり,法人の自主性,自律性が発揮できるように,事前関与・統制を極力廃し,事後チェックへの重点の移行を図るため,主務大臣の監督,関与その他)の国の関与を必要最小限のものとすべきこととしていた。
 通則法は,こうした指摘を受け,(中略)独立行政法人が一般的に主務大臣の指揮監督に服する旨の規定は置いていない。(深見97ページ,中略98ページ)
 通則法の規定を概観すると,主務大臣は,(中略)具体的な業務の内容を個々に指揮監督することは予定せず,独立行政法人の自主的な業務運営に配慮していることが分かる。
 したがって,主務大臣と独立行政法人との関係に関するこうした規定の解釈に当たっては,通則法等のこのような立法意思に沿うように努めなければならないことはいうまでもない。

【宮田三郎・国家責任法】
177ページ
 国家賠償責任の主体は,国家賠償法一条の場合は当該公権力の行使の帰属する国又は公共団体であ【る】
178ページ
 国賠法一条が適用される事件で,機関委任事務に関する賠償責任は,(中略)被害者は費用負担者としての地方公共団体と監督者としての国のいずれをも被告とすることができる。

本条1項に基づいて賠償責任を負うべき者は,当該公務員の選任・監督権限を有する者の帰属する国または公共団体と当該公務員の俸給等の費用を負担する国または公共団体である。両者は原則として一致するが,両者が異なる場合には,いずれも損害賠償責任を負わなければならない(3条1項)。ただ,この点については,本条1項

【塩野宏・行政法U[第三版]行政救済法】
299ページ
 公権力の違法な行使による損害賠償については,当該公務員の職の帰属主体であり,かつ費用の負担者である公共団体が,責任主体となる。

【村重慶一・宗宮英俊・国家賠償訴訟の実務】
61ページ
 責任主体は,加害行為となる公権力の行使にかかわる事務が帰属すべき行政主体である。
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