法律

□諸法
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《相続に関する準拠法》(3)

第2 法務総合研究所・研修教材国際私法(第四版)
※平成9年1月当時のもの

1 相続の準拠法に関する法例の立場(59ページ)

(旧)法令第26条は,「相続ハ被相続人ノ本国法に依ル」とする(統一主義)。

「相続」とは,財産相続,身分相続,包括相続,特定相続,法定相続,遺言相続等すべての世代を超えた財産,身分の承認をいう。

「本国法」とは,死亡時又はその他の相続
開始時の本国法をいう。

「本国法主義」をとっているので,反到の適用される可能性があり,この場合には,分割主義と同じ結果が生ずる。

2 適用範囲

(1)相続の原因=相続開始の原因,時期等

(2)相続人=相続人となる者,相続能力,相続欠格,相続廃除,相続放棄,契約の許否,相続順位等。

※相続人たる地位に当たるかどうかは,まず被相続人との間の親族関係(たとえば,親子)によって決まるわけであるが,これは「先決問題」であって,相続の準拠法によらず,それぞれの法律関係の準拠法によるべきである。

(3)相続財産=相続財産の構成及び移転(最高裁判所昭和34年12月22日判決・家月12巻2号105ページ等)

※個々の財産の準拠法が相続財産と認めないときは相続財産に入らず,また,相続による移転は生じない。いわゆる「個別準拠法は総括準拠法を破る」と言われる場合である。

(4)相続の承認及び放棄

(5)相続分及び遺留分

※遺留分減殺請求が物件的効力を生ずるためには,個々の財産の準拠法によっても,その効力が認められなければならない。

(6)相続人の不在

※この場合の財産の帰属については,旧法令26条の相続の問題として扱わず,被相続人の死亡当時その財産の存在した国の法律によるのが妥当である(大阪地方裁判所昭和40年8月7日判決・判タ185号154ページ)。

(7)相続財産管理人・遺言執行者
 
第3 韓国法(渉外私法)における扱い

第4条(反致)

当事者の本国法によるべき場合において,その当事者の本国法が大韓民国の法律によるべきものであるときは,大韓民国の法律による。

第26条(相続)

相続は,被相続人の本国法による。
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