法律
□諸法
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《相続の準拠法》(1)
第0 基礎知識
1 国際私法における抵触規定の構造
「単位法律関係+連結点」によって構成される。
単位法律関係=規定の適用の対象となる渉外的法律関係の類型を示す部分
連結点=準拠法を指定する部分
2 実質法
実質法=国際私法において,具体的事案に適用される実体法及び手続法
3 (単位)法律関係の性質決定
T「法廷地法説」(最有力)=法律関係の性質決定の基準は,法廷地の実質法によるとする説(カーン・バルタン,京都地方裁判所昭和31年7月7日判決・下民集7巻7号1784ページ)
U「準拠法説」=当該法律関係の準拠法となる実質法によって決定されるとする説
V我が国の通説=法廷地の国際私法自体から決定すべきものとする説(東京地方裁判所昭和35年12月24日判決・下民集11巻12号2765ページ)
→法律関係の性質決定の問題は,国際司法の規定の解釈の問題ということになる。
4 連結点
国籍,住所・居所,物の所在地,行為地,事実発生地,婚姻挙行地,法廷地のごとく,単位法律関係をいずれかの法に結びつける要素。
連結点の決定も,抵触規定の解釈の問題。
5 反致
渉外法律事件において,A国国際私法によれば準拠法はB国,B国国際私法によれば準拠法はA国法又は第三国法となるというように消極的抵触が生じる場合に,A国がB国の国際私法をも考慮に入れて準拠法を定めること。
この場合に,A国法を準拠法と定めることを「狭義の反致」,第三国法を準拠法と定めることを「転致」又は「再反致」という。