法律

□諸法
4ページ/11ページ

《組対法上の「犯罪収益等隠匿」罪》

問 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(組対法)における「犯罪収益等隠匿」罪について説明せよ。



答 組対法10条1項は
《犯罪収益等の取得若しくは処分につき事実を仮装し,又は犯罪収益等を隠匿した者は,5年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する。犯罪収益の発生の原因につき事実を仮装した者も,同様とする。》
と「犯罪収益等隠匿」罪について規定する。
 金融機関等を経由することによって犯罪収益をクリーンな外観を有する財産に変えて前提犯罪との関係を隠し,あるいはこれらの財産を隠匿する行為は,将来の犯罪活動に再投資されたり,事業活動に投資されて合法的な経済活動に悪影響を及ぼすなどのおそれのある犯罪収益の保持・運用を容易にするものであることから,これを処罰するものである。
 未遂及び予備(2年以下の懲役又は50万円以下の罰金)も処罰される。



問 「犯罪収益等」とは何か。



答 「犯罪収益等」とは」,犯罪収益,犯罪収益に由来する財産又はこれらの財産とこれらの財産以外の財産とが混和した財産をいう(組対法2条4項)。
 「犯罪収益」とは,組対法2条2項に定義規定があり,それによると,覚せい剤取締法,売春防止法,銃刀法及びサリン等による人身被害の防止に関する法律それぞれにおける資金提供の罪等により提供された資金(2号),不正競争防止法における外国公務員に対する不正の利益の供与等の罪により供与された財産(3号)のほか,1号において

《財産上の不正な利益を得る目的で犯した別表に掲げる罪の犯罪行為(日本国外でした行為であって,当該行為が日本国内で行われたとしたならばこれらの罪に当たり,かつ,当該行為地の法令により罪に当たるものを含む。)により生じ,若しくは当該行為により得た財産又は当該犯罪行為の報酬として得た財産》

をいうとされる。
そして,「別表」の犯罪中刑法に係るものとしては,犯人蔵匿等,証拠隠滅等,証人等威迫,常習賭博,賭博場開帳等図利,殺人,逮捕及び監禁,強要,営利目的等略取及び誘拐,身代金目的略取等,信用毀損及び業務妨害,威力業務妨害,詐欺,恐喝,建造物等損壊がある。



問 「犯罪収益」と認められるには,前提犯罪が組織的な形態で行われる必要があるか。



答 必要ない(三浦守他『組織的犯罪対策関連三法の解説』73頁)。



問 「犯罪収益等の処分につき虚偽の事実を仮装する行為」には,どのようなものが挙げられるか。
 



答 架空名義あるいは第三者名義による財産の購入や為替送金等である。 0
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ