法律

□民事訴訟法雑記帳
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民事訴訟における証人採否の基準

《条文》
180条
1項 証拠の申出は,証明すべき事実を特定してしなければならない。
2項 証拠の申出は,期日前においてもすることができる。
181条
1項 裁判所は,当事者が申し出た証拠で必要でないと認めるものは,取り調べることを要しない。
2項 証拠調べについて不定期間の障害があるときは,裁判所は,証拠調べをしないことができる。

《裁判所が証人尋問を却下する場合》
1 不適法な場合(伊藤353ページ,大学双書310ページ)
 ・証明すべき事実が不明確で,申出が不適法な場合(伊藤353ページ,基コメ159ページ)
 ・時機に遅れた申出で,申出が不適法な場合(大学双書310ページ,基コメ159ページ)
 ・証拠調べに要する費用を当事者が予納しない場合(基コメ159ページ)
 ・証拠申出をした当事者がその証拠調べにつき不誠実な態度を示し,申立権の濫用と思われる場合(基コメ159ページ)
 ・当該証拠方法の取調べにつき不定期間の証が障害がある場合
2 要証事実が証拠を必要としない場合(大学双書310ページ)
 ・自白事実(大学双書310ページ,基コメ159ページ。なお,基コメ同ページは,この場合,「棄却」すべきとする。)
 ・裁判所が十分に心証を得た事実(大学双書310ページ)
 ※基コメ160ページは,さすでに裁判所が心証を形成している主要事実につき,さらにこれ基礎付けるための間接事実を証明するために証拠の申出がされた場合には,「棄却」すべきとする。
3 必要性がない場合(大学双書310ページ)
 ・証拠が立証事項と合致しないとき(大学双書310ページ)
 ※争点と関連性のない事実について証拠の申出がなされている場合(基コメ160ページ)も同趣旨か。なお,基コメ159ページは,このような場合,棄却すべきとする。
 ・尋問から予想される証拠資料が心証形成に有益ではない場合(伊藤353ページ)
 ・訴訟物との関係で法律上意味のない事実についての証拠申出がなされている場合(基コメ159ページ。なお,基コメ同ぺーじは,この場合,「棄却」すべきとする。
 ※大学双書310ページは,「証拠力が弱い」との予断で却下はできないとする。
 ・同一の争点につき,根源・出所が同一で,かつより有力と思われる他の証拠方法についてすでに取調べが行われている場合においては,証拠の申出を採用しない旨を決定すべきとする(基コメ160ページ。この場合も,「棄却」か。)

《「唯一の証拠」の原則》
 当事者が申し出た証拠が争点ごとに審級全体を通じて唯一の場合には,この証拠を裁判所は必ず取り調べなければならないという原則(判例。最判昭53・3・23判時885−118)。
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