法律

□民事訴訟法雑記帳
4ページ/8ページ

【人証調べにおける異議】

(参考文献)
体系=白石史子「証人尋問の手続」福田剛久ほか編『民事証拠法体系第3巻各論T人証』91ページ以下
条解規則=最高裁判所事務総局民事局監修『条解民事訴訟規則』

1 尋問の範囲
・主尋問=「立証すべき事項及びこれに関連する事項」
・反対尋問=「主尋問に現れた事項及びこれに関連する事項並びに証言の信用性に関する事項」
・再主尋問=「反対尋問に現れた事項及びこれに関連する事項」
・尋問の範囲が前記の範囲を超える場合でも,「当事者の権利が不当に害されることなく,真実発見のために適当であると考えられる場合には,その質問を制限する必要はないので,裁判長の裁量によって許容することができる。」

2 尋問の制限
@「個別的かつ具体的」でない質問(規則115条1項)
※「できる限り」するものにすぎないので,違反は,裁判長の訴訟指揮による制限に直結しない(条解規則253頁)
A「証人を侮辱し,又は困惑させる質問」(規則115条2項)
B「誘導尋問」(規則115条2項)
 〜争いのない点,争点に直接関わらない点,記憶喚起,適切な表現能力がない場合等の場合は,可(体系109頁)
C「重複尋問」(規則115条2項)
 〜誤解又は忘却に基づくと思料される証言の確認,証言の細部を聞く場合,反対尋問における弾劾の前提としての主尋問の確認等の場合は,可(体系109頁)
D「争点に関係のない質問」(規則115条2項)
 〜伏線のための尋問は,可(体系109頁)
E「意見の陳述を求める質問」(規則115条2項)
 〜人・物の同一性,人の筆跡・性質・能力・年齢等の判断等は,可(体系109頁)。
F「証人が直接経験しなかった事実についての陳述を求める質問」
 〜直接経験者が死亡等しており供述を得られない場合,公文書その他特に信用すべき状況の下で作成された書面により知り得た事項,第三者が異常な状況下で発した言葉等は,可(体系109〜110頁)
・A〜Fまでの質問は,申立て又は職権により制限できる。
・B〜Fまでの質問は,正当な理由がある場合には許される。

3 異議
 当事者は
(1)規則113条(尋問の順序)2項,3項
(2)規則114条(質問の制限)2項
(3)規則115条(質問の制限)3項
(4)規則116条(文書等の質問への利用)1項
の規定により,異議を述べることができ(規則117条1項)
これに対し,裁判所は,決定で直ちに裁判をしなければならない(規則117条2項)
※ 実務上は,異議は余り活用されていない(体系110頁)。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ