法律

□刑法雑記帳
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《放火罪における既遂概念》

問 放火罪が既遂に達するためには,火が客体上で燃え上がっている必要があるか。



答 不要である。
刑法108条ないし118条に規定された放火罪の既遂時期は,「焼損」であるところ,「焼損」とは「火勢が放火の媒介物を離れて目的物に移り,独立して燃焼作用を継続しうる状態に達したこと」を言う(大コンメ(7)21頁)。
そして,燃焼と言っても,必ずしも炎を伴うとは限らないのであり,可燃部分が炎の出ない材質であっても,高温に酸化して周辺にも発火点まで熱が伝わり可燃部分全体に順次燃え移っていく状態になれば,独立燃焼の状態といえる(同25頁)。
したがって,いわゆる「くん焼」や「無炎燃焼」の状態でも,焼損と言いうる。
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