法律

□刑法雑記帳
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横領罪(1) 

問 業務上占有する他人の不動産について,抵当権を設定登記した後,さらに同一不動産を売却した場合,検察官が後行する売却行為のみについて起訴したときには,どのように擬律されるか。



答 当該行為について横領罪が成立する(最大判平成15年4月23日刑集57巻4号467頁)。
 横領行為について,「不法領得の意思を実現する一切の行為」と理解する立場(領得行為説)からすると,不法領得の意思が発現する行為は複数存在しうることから,当然の帰結である(橋爪隆「横領概念について」『研修712号』4頁)。
 


問 委託を受けて一定期間保管している他人の自動車を返却期限に現状通りで返却したが,その間,所有者に無断で長時間乗り回していた場合,どのように擬律されるか。



答 横領罪に擬律される。
 橋爪隆「横領概念について」『研修712号』5頁は,所有権者の利用が現実に妨げられることなく,また当該自動車の経済的価値が全く損なわれていないとしても,本ジレの場合には,「当然に横領罪が成立すると考えられている」という。



問 研究目的で機密資料を社外へ持ち出すことは容認されていた者が,当該機密資料を不法にコピーする目的で社外へ持ち出すことは,どのように擬律されるか。



答 業務上横領罪が成立する(東京地判昭和60年2月13日刑裁月報17巻1=2号22頁)。
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