法律

□民法雑記帳
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【内縁の妻が日常の家事の範囲に属する債権に関しその債務の履行を受領することに民法761条が準用されること】

民法761条は,「その明文上は,単に夫婦の日常の家事に関する法律行為の効果,とくにその責任について規定しているにすぎないけれども,同条はその実質においては,さらに,右のような効果の生じる前提として,夫婦は相互に日常の家事に関する法律行為につき他方を代理する権限を有することをも規定しているもの」である(最高裁判所昭和44年12月18日第一小法廷判決・民集23−12−2476)。

そして,民法761条の趣旨が夫婦の相手方の保護にあることからすると,内縁関係においても実質的な夫婦関係にある者の一方と取引をした第三者の保護の要請は変わらないから,民法761条に規定する日常家事代理権は,内縁関係にも準用される(青森地方裁判所八戸支部昭和36年9月15日判決・下民12−9−2323,東京地方裁判所昭和46年5月31日判決・判時643−68,札幌地方裁判所昭和47年11月10日判決・判時695−96,新版注釈民法(21)[大原長和・二宮周平]263ページ)。

また,日常家事代理権は,日常家事の範囲に属する債権の履行の受領にも認められる(火災保険金の受領につき東京高等裁判所昭和49年4月24日判決・金融法務事情729号37ページ)。

したがって,内縁の妻が日常の家事の範囲に属する債権に関しその債務の履行を受領することに民法761条が準用される。
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