TOS+その他
□こっち向いてハニー!
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「ただ今ハニー!」
喜声を上げて突進してくるゼロスをクラトスは闘牛士よろしくかわす。
そのままゼロスは壁に激突した。
「…痛い!酷い天使様!」
「…煩い」
何時もより冷ややかな――いや絶対零度の視線を浴びてさしものゼロスも焦り出す。クラトスの不機嫌さは半端ない。
「ちょ、どーしたのよ天使様」
俺様何かしたっけ?
今日は女の子とろくに会っていない。朝から調査に引っ張り出されたし、クラトスを怒らせるような事はしていない筈だ。…多分が付くが。
「…随分とお楽しみだったそうじゃないか?」
「…は?」
お楽しみ?何が?
「アニス達と楽しいトークタイムはどうだった?ああ、後からアニーも参加したらしいな」
え。
えええ!
「ちょ、ま、何で知ってんの?」
「否定しないのだな」
「いや、ちょ、待て待て誤解してますよ。クラトス!」
確かに。アニスやアニー達と会ったが。自分の立場に不満を持つ彼女達に戦いを挑まれ、疲れ果てて帰ってきただけだと言うのに。おまけに話の流れでプレセアにタコ殴りにされて…思い出しただけでも嫌なイベントだった。
「ちょい待ち、俺様誓って変な事してないよ。これは事情が会ってだね」
「アニスに求愛されて満更でもなかったとか」
「はいぃ!?」
何でこんな詳しく知ってるんだ?!
「誰に聞いたの!」
流石に声を荒げるとクラトスは言い淀んだ。
「…ジェイド。」
あの鬼畜眼鏡…!!←血涙
「いや、あのねクラトス、話聞いて戦っただけなのよ。他はなんもないの。本当!」
普段寡黙なクラトスが饒舌になっているのはかなり怒っている証拠。どうすれば機嫌直してくれるのか。
「…本当に、か?」
「本当デス!」
即答するとクラトスはふ、と笑った。
「…まあ今回は許してやる。次はないぞ」
「ハニー!」
感極まって抱き着くと相変わらず頬を染めて離さんか馬鹿者!と怒鳴ってくる。
「へへへ」
「…なんだ気持ち悪い」
「ひっどーい。ね。クラトス。俺様が好きなのクラトスだけだからね。信じてね。」
何時になく真摯にそう言えば腕の中の身体は微かに身じろいだ。ややあって、
「…ああ」
という返答にゼロスは嬉しくなってクラトスの髪に口付けた。
いつまでも貴方に夢中なのは俺の方だと思ってたけど、嫉妬してくれたって事は貴方も俺に夢中なんだよね。
さあ、こっち向いてハニー!もう離さないよ。