TOS+その他
□拍手文
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そうだアルタミラへ行こう
麗らかな春の日、つかの間の休息。
「なあ、行こうぜー」
なあなあ、と纏わり付くロイドにクラトスは眉を下げた。
「…お前達だけで行ってきなさい。私はいいから。」
やんわりと断るとロイドは俯いた。
「クラトスと…父さんと行きたかったんだ…俺…。」
「…ロイド…。」
その言葉を聞いてクラトスは言葉に詰まる。今まで父親らしいことをしてやれなかった後悔が胸を刺す。
「…分かった。行こう。」
「ホントかっ?!」
ぱああ、と輝くような笑顔を見せたロイドにクラトスも釣られて笑顔になる。ロイドの頭を撫でながら優しい口調で言った。
「ああ。たまには息抜きも必要だろう。」
「だよなー!じゃ早速行くか!」
アルタミラへ!
そしてクラトスとロイドはアルタミラの遊園地へ。わくわくとするロイド。なんだかんだとクラトスとふたりきりだ。嬉しくない筈がない。
「いよお、ハニー」
だが。その一声が全てをぶち壊した。
「ゼッゼロス!?」
「はーい俺様よ〜ん」
でひゃひゃひゃと笑うゼロスにロイドとクラトスも一瞬ぽかんとし。いち早く正気に戻ったのはロイドだった。
「なんでお前がここに居るんだよ!」
「ん?ハニー達がデートすると聞いてだ。俺様も混ぜて貰おうとだな」
「盗み聞きしてたのかよ!」
「聞こえちゃったんだもん。」
天使化した聴覚は楽に隣部屋のロイド達の会話を拾った。ゼロスはにっこり笑い、
「じゃ行こうか」
クラトスの腰に手を回す。
「ぅおまえー!!」
憤慨したロイドがゼロスの手を叩き落とした。
「いってーな。何すんのよ。あ、ハニーヤキモチ?」
「うるせークラトスに触るな!」
言うが早いかクラトスに抱き着くロイド。
「あーじゃあ俺様も!」
ゼロスもクラトスに抱き着く。
「こ、こらふたりとも!やめなさい!」
遊園地の入り口で男三人すったもんだは目を引いた。道行く人皆ちらちらこちらを伺っている。
クラトスは羞恥に頬を染めた。
「あれー天使様赤くなって可愛い!」
「…輝く御名の元…」
「わーストップ!」
慌てロイドが止めに入る。このままでは自分もジャッジメントを喰らうは必死だからだ。
何とかクラトスを宥め、三人はコーヒーカップに乗った。廻すのはゼロスで、調子に乗って勢い良く廻し始める。
「ぎゃーゼロス!廻し過ぎだー!」
「でひゃひゃひゃ、そらそら!」
異様に静かなクラトス。まだ怒ってるのか、とロイドはクラトスを覗き込む。
「…クラトス?」
「……気持ち悪い………」
「「えええ!」」
顔面蒼白で呟くクラトスに流石にゼロスは廻すのを止めて、
「大丈夫天使様?俺様が愛の介抱してあげるよ」
「愛は余計だ!」
またも始まったふたりの争いにしかしクラトスは制裁に入る事も出来ず。
「…もう、駄目だ!」
そう言うが早いかコーヒーカップから飛び降りて走って行ってしまった。口許を押さえて。
ゼロスとロイドは顔を見合わせた。
「…なんかさ」
「…ああ。」
つわりみてぇ……。
ふたりの意見は一致し、ちょっと萌えるな、つわりクラトス等と不埒な会話をしていた為。
「ジャッジメント!」
戻ってきた天使に光の裁きを受けて地面に伸びるふたりだった…。
おわれ