TOS+その他

□君不足が深刻です
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「天使サマー!」


「きゃっ」



いきなり腰に抱き着いて来た物体――ゼロスにクラトスは驚いた。


「うわーうわーきゃあ!だって初めて聞いたすげー可愛いー!」


「かっ可愛くなどない!いきなり抱き着くな!」



頬を染めて否定するクラトスにゼロスはでひゃひゃひゃと笑って、



「え〜可愛いよ。自覚無しですか、俺の天使様は」


「〜〜〜っ」



ぼん!と湯気が出そうなくらい真っ赤になったクラトスを見てゼロスは笑みを深くする。


「ど、何処からそんな歯の浮くような台詞を」


「いくらでも言えるよ〜俺様、天使様を――クラトスを愛しちゃってるから」



クラトスは真っ赤になり俯いた。ゼロスはそんな彼女を抱きしめる。



「信じられない?」


「…わ…私…」



くい、とクラトスの顎を掴んで持ち上げる。潤んだ瞳が見上げてくる。ゼロスは何とか襲いたくなるのを理性で堪え、そっとクラトスの艶やかな髪を撫でた。



「…クラトス…」



そのまま、ゼロスの顔が近づく。後唇まで数センチの時。



「おーい母さん〜」



プシューと言う機械音と共に扉が開きロイドが現れた。


瞬時にゼロスを突き飛ばすクラトス。狭い廊下の壁にしたたかに頭を打ちもんどり打つゼロス。



「ロッロイド何だ!」


「あ、えー晩飯だから呼びに来たんだけど。ゼロスは何やってんの」


「いやこれは何でもない。わかった、今行く」


「うん!今日はシチューだってよ。」


嬉しそうに食堂に走っていくロイドを慈母の眼差しで見送り、次いで足元に転がるゼロスを見遣る。



「うっうっ、天使様酷い〜俺様泣いちゃう」


「あれは仕方なかろう…」


まさかロイドの目の前で口付け等する訳にもいくまい。そう言えばゼロスは立ち上がり、


「いや、俺様、誰が見てても構わないよ。」


だってクラトスは俺のものだもん。


「…ばっ馬鹿者!」



今度こそ茹蛸のようになったクラトスに殴られまたもや地べたに這う事になった哀れなゼロスだった…。




おしまい



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