TOS+その他

□じゃあ奪ってあげる
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「ゼロスってさ」


唐突にロイドは言う。宿屋の一室、戦いを一段落終えて休んでいたゼロスの部屋にいきなり入って来るなりこれだ。


「なんで俺にもハニーて言うの?」


「うん?そりゃあロイド君も俺様の可愛いハニーだからでしょーが」


何時もの調子で返してやるとロイドはしゅん…と俯いた。


「ハ、ハニー?」


「ほら、同じだ」



何が、と問う前にロイドはきっ、とゼロスを睨んだ。その大きな瞳が潤んだように見えるのは気のせいなのか。



「他の女の子達と同じ呼び方、だ」



俺もその他大勢なんだろう?


そうロイドが言うとゼロスは一瞬ぽかんとして、それからくつくつと笑った。



「何がおかしーんだよ!」

「ごめんごめん、そんなに気にしてたなんてな…てか声色変えてるつもりだったんだけど」


「はあ?」


「女の子達がハニーでロイド君がハニー」


「分かるかあぁあ!」



もういい!と憤慨して出て行こうとする腕を掴まれた。驚き振り向くと今まで見た事ないくらい真剣な表情のゼロスがいた。


「ゼ、ゼロス」


「ロイド」


真摯な声色で囁かれ、思わずぎゅっと目をつむる。



「目閉じないでちゃんと俺を見て」



恐る恐る目を開けると微笑むゼロスがいた。



「全く敵わないなお前には。俺の我慢も無駄じゃねーか」


え、と思う間もなく抱きしめられた。ロイドの顔が茹蛸みたいに真っ赤になる。


「あ、ゼロス、お、おい」

「こういう時は色気ある声出しなよ」



ぽかんとロイドはゼロスを見た。ゼロスは猛禽類みたいな獰猛な瞳で笑って、


「大丈夫。ロイドが一番の俺のハニーだよ」


抱きしめた身体から力が抜けるのがわかってゼロスは一層笑みを深くした。




じゃあ奪ってあげる




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