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□月
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「…兄妹で月見か?」
「うん!だって今日は仲秋の名月だものね!コムイ兄さん」
「ん、こうすることで遠い故郷に思いをはせるなんて女々しいかもしれないけどね……」
「はっ…違いねぇ…」
「はい、神田」
「あ?」
リナリーが丸い包み菓子をよこした。
「月餅よ!日本じゃどうだか知らないけど、中国では仲秋節に月餅を食べるのよ」
「そ、家族や友の幸せを願ってね。リナリー今年もお互い無事にすごせるといいね―v」
「うんvそれとホームのみんなもね」
「ちっ…甘すぎてやってらるか……」
ばかばかしくなって
その場を離れようとする俺に
「神田は誰を思ってその月餅を食べるのかしら?」
と背後をついてくる。
「食うか!ばかばかしい」