雅次×竜二

挙ニ占
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暗い部屋の中、竜二は目を覚ました。
窓は、遮光カーテンに覆われており、人工の光も、陽の光も射し込んでおらず、今の時間を曖昧にさせている。
うつ伏せの状態で柔らかく大きな枕を抱くようにして眠っていた竜二は、枕から顔を離し、ベッドサイドの小さなディスクに埋め込まれたデジタル時計に視線を向けた。
時刻は、午前4時。
まだ一眠り出来る時間帯だったが、眠気は既に薄れてしまったため、彼は腕を伸し、部屋の照明を調節するするつまみをいっぱいまで回す。
すると橙色した落ち着いた色合いの照明がつき、見るからにシティホテルのツインルームだとわかる、2つのベッドが部屋の大半を占めた部屋を照らしだした。
竜二がいるベッドの隣のベッドは、綺麗にベッドメイキングされたままで、使用された形跡は無い。
だが、竜二一人がこの部屋に泊まったわけではなく、彼には連れがいた。
その姿は見えない上、気配さえ感じられなかったが、竜二は別段、何も思わなかった。
それは、その相手が、竜二を一人残して先に帰ってしまうような男ではないと竜二自身がそう認識しているからだった。
ベッドから身を起こした竜二は、裸の身体に何か着ようと周囲を見渡す。
だが竜二が着ていた着物と襦袢は、彼の視界にはない。
きっとドアの近くにあった埋め込み式のクローゼットの中に畳まれてしまわれているのだろうと竜二は思う。
隣のベッドの上に、綺麗に畳まれた備え付けの浴衣が一枚置かれていたが、それを取るには一度ベッドから降りなくてはならず、竜二はそれを面倒だと感じ、早々と浴衣を着るのを諦めた。
すると床に脱ぎ捨てられたまま落ちているカッターシャツが目に入る。
それならまだ、手を伸ばせば取れる距離で、竜二はそれを掴んで拾い上げた。
その動作をした時、彼の体内から、何か生温かなモノが溢れてくる。
その感覚に眉をひそめた竜二だったが、彼は気を取り直して拾い上げたシャツに袖を通した。
シャツは、竜二のものでは無く、袖が余る上、肩がくるはずの位置が、二の腕の辺りまでずり下がっている。
それでもかまわず、竜二はシャツのボタンを上二つを残し、しめた。
脱ぎ捨てられていたシャツには、竜二と一緒にこの部屋に来た男の残り香がする。
そのシャツの持ち主は、竜二と同じく陰陽術の使い手だが、時折、スーツ姿で仕事場に迎う時がある。
竜二が生業とする妖怪退治ならば、妖怪が闊歩する夜の時間帯を狙って出動するのだが、男が良く依頼される封印の場合、人目に付きやすい日中に依頼されることが多い。
それは封印を依頼される場所の中に、マンションやホテル、病院など比較的風評被害を受けやすい場所があるためで、建物の利用者に、陰陽師が来ているとわからせぬよう、一般の業者になりすますことが求められるからだ。
仕事の内容としても、建物の一部に護符を貼り、妖怪が入ってこられぬように結界を張るだけで、戦闘になだれ込むケースはほとんどない。
だからといって、誰にでも出来るわけでは無く、結界の精巧さにおいて、男の右に出るものはいない。
昨日、竜二は非番だったが、男の方は、仕事の依頼があった。
しかし、すぐにそれは終わったようで、待ち合わせ場所には、竜二よりも先に来ていた。
その後は、店に入り、二人で飲んだ。
はじめから外で飲むのを目的としていたため、男は愛車を出さずに、帰りはタクシーで帰る予定をしていたのだが、二人ともそれだけでは足りなくなり、きゅうきょ、このホテルに泊まることにしたのだ。

「……」

シャツを着た後、特に何をするでもなく、ぼんやりとしていた竜二だったが、おもむろに、乱れたシーツの上で両足の膝を曲げ、足を開く。
そして両足の間に手を入れ、己の後孔に指を入れた。

「…ふ…」

体内で指を曲げ、その状態で指を抜けば、とろり、とまだ温かな白濁の粘液が、彼の体内から流れ出てくる。
自分の体内から液体が溢れ出す感覚に、竜二はきつく眉を寄せ、身を震わせた。

「っ…く…」

掻き出しても掻き出してもまだ溢れてくる。
何度も硬い塊で擦られた肉壁は、敏感になっており、あまり指を動かしたくはないのだが、そうもいっていられない。

「ぅ…」

体内を探るうちに、いつしか身体は快感を追うようになり、彼の内部は、貪欲に己の指を締め付け、その刺激に、竜二は膝を合わせて身悶えた。
快感に、竜二の意思に反して勝手に指が動く。
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