魔魅流×竜二

牛gき夢見し、君思ふ
2ページ/3ページ

「はっ…は…っ」

吐く息が荒い。
ドクドクと鼓動が、大きく早く脈打つ。
真っ黒だと思っていた視界に、蒼白い光が射し、見慣れた天井を映し出す。
自分に覆いかぶさっていたはずの魔魅流の姿は、もうどこにもない。
竜二は呆然としながら自分の首筋に手をやった。
そこには傷どころか歯形さえ残っていない。
アレはただの夢だったのだ。
それに気付いた竜二は、月明かりに照らされた自室の布団の中で、両手で顔を覆う。
内容以外は、あまりに現実味溢れる夢だった。
咥内に入り込んできた舌の熱さも、首筋に歯が食い込んだ痛みも、全てがリアルで、到底、夢とは思えない。
夢だと安堵したのも束の間、ある違和感を感じた竜二は、愕然とした。
そして信じられない思いで、そろっと浴衣の裾を割り、下着の中へ手を入れる。

「まじかよ…」

とろっと自分の手に付いたまだ生暖かな粘液に、竜二は現実を受けとめきれずに声を震わせた。
この年で夢精をしてしまったこと事態、かなりショックだというのに、あんな夢を見て夢精してしまったのかと、夢精の原因となった夢の内容に、竜二は立ち直れないぐらいのショックを受ける。
確かめるように粘液が付いた手を目の前にかざせば、月明かりに照らされ、指の間で糸が引いているのが確認できた。

「胸くそ悪りぃ」

自分は、被虐されて悦ぶ趣味などない。
だというのに、何故、あんな夢を見たのか、竜二は拳を握り締め、苦々しく吐き捨てた。

「竜二」

物思いに耽っていたところで、障子越しに声をかけられ、竜二は息を飲む。
その声は、先程の夢に出てきた魔魅流のもので、彼は呼び声に答えることを拒否した。

「竜二」

また、魔魅流が竜二を呼ぶ。
その声は、まるで犬が鼻を鳴らし、飼い主を呼ぶかのように切ない。

「竜二」

「入れ」

三度目の呼び声に、もともと忍耐強い方ではない竜二は、上体を起こし、魔魅流に部屋に入るよう促した。

「こんな夜更けに、何の用だ」

魔魅流の顔を見る気さえ起こらない竜二は、魔魅流の方へ顔を向けずに尋ねる。

「用は、何も…ただ、竜二に会いに来ただけ」

竜二の側まで寄った魔魅流は、敷かれた布団のすぐそばで正座した。
そして魔魅流は、夢とは違い、しおらしいことを言ってくる。

「…ヤりに来たの間違いじゃないのか?」

それに竜二は彼の方へ顔を向け、こつくように、こつり、と軽く握った拳を魔魅流の額に当てる。

「ダメ?」

竜二の問いに否定もせず、魔魅流は首を少しだけ傾け、そんなことを聞いてくる。

「…いいぜ」

駄目だ、と突っぱねてやろうかさえ思った竜二だったが、彼の意思に反し、例え無意識下であったとしても、一度欲を吐き出した身体は、魔魅流の姿に、その先の快楽を求めて疼き始めている。
魔魅流の瞳を見据えた竜二は、手を伸ばし、彼の唇に人差し指を触れさせた。





「ただし、ココを使うのは禁止な?」






◆◆◆◆◆


敷き布団の上に足を伸ばして座る魔魅流の上に竜二が膝立ちで跨がれば、浴衣の裾が乱れ、隙間から、彼の足が覗く。
魔魅流は、誘われるようにその隙間の中に手を差し入れた。

「!竜二…」

「言うな」

そしてすぐに何かに気付いたであろう魔魅流の反応に、自分の失態を思い出した竜二は、彼が二の句をつぐのを許さなかった。

「……一人で、シた?」

しばらくの沈黙の後、魔魅流は、竜二の体液を受けとめ、ぐちょぐちょに濡れて役目を果たさなくなっている布の中に手を入れたまま、じっと竜二を見つめ尋ねる。

「…まぁ…似たようなもんだ」

お前の夢で夢精した、だなんて言えるわけがなく、竜二ははぐらかす。

「…舐めたい」

それに納得したのか、それ以上追及してこなかった魔魅流だったが、生暖かい粘液にまみれた竜二自身を手で包みながら、そんな要求を口に出した。

「駄目だ。口を使うのは禁止だって言っただろうが」

もう忘れたのかと、竜二は魔魅流の頭を殴る。

「でも…美味しそう」

懲りずに、真顔でそんなことを言ってくる魔魅流に、竜二は、ひくり、と顔を引きつらせた。

「駄目なもんは駄目だ。…それより、早く先に進めよ。やめにしたいのか?」

このままでは埒があかないため、竜二が急かせば、魔魅流はやめるのは嫌だとばかりに、奥の窄まりへと指を向かわせる。
そこは双丘の谷間まで濡れきっており、魔魅流は竜二の精液を纏った指で、彼の入り口に触れ、そしてゆっくり彼の体内へと侵入を果たした。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ