セイント・ビースト

□甘い物はほどほどに。
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朝。
その日ガイはいつもよりもだいぶ遅くに食堂に姿を現した。
食堂にはすでに朝食を終え、どこかに出かけたのかいつもならいるユダとルカの姿はなく、ゴウとレイとシンの三人が食後の紅茶を飲んで談笑していた。
「・・・おはよ。」
食堂に入ってきたガイに気がつき、三者三様の返事を返す。
「おはようございます、ガイ」
「ガイ、遅いじゃないですか。朝食冷めてしまいましたよ。」
「おはよう。昨夜は夜更かしでもして寝るのが遅くて起きれなかったのか?」
「あぁ・・・」
ここで普段ならガイがキャンキャン言い返すか笑って「わりーわりー、寝坊しちまったぜ」ぐらい言うのだが、何故か今朝は気のない返事をしたままガイは席についた。
「どうした、ガイ?」
ゴウは元気のない様子のガイに心配そうに声をかける。
その声にガイの朝食を台所に取りに行ったレイもガイの様子が変だと気づき、持ってきた食事をガイの前に置きながら尋ねる。
「ガイ?何か悪い夢でもみたのですか?」
「・・・」
ガイはレイに出された食事をジーと見つめるだけで、何も言わない。
あきらかに普段と違う。
その場にいた三人は黙って顔を見合わせた。
なんだかんだと能天気に見えるガイにでも悩みの一つや二つぐらいあるだろう。
しかし、ここまで黙り込む程何を悩んでいるのか。
ガイは唇をギュッと閉め、おもむろに席から立ち上がると三人に困ったような表情で、
「ごめん、今日は朝飯いらねーや」
とだけいって食堂から出て行ってしまった。
ガイが去ったあとの食堂は色めき立った。
あのガイが、ご飯をいらない!?
「な、なにがあったんだ・・・ガイに・・・。」
「も、もしかして僕が変なご飯でもだしてしまったのでしょうか?それとも、食あたり・・・。」
食事をみて席を立ったガイに、もしかして自分のせいじゃないかとレイはおろおろしはじめる。
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