Book★1
□雪の花びら(08.11/21)
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見上げる夜空と 白い息
キラキラと眩しいクリスタルは 雪のモチーフ。
空は深くどこまでも透明で
地上は光に溢れてにぎやかだ。
「ねえ、可愛いね!」
はしゃぐ声に目を落とすと、大きな瞳に光を映した君がいる。すきなひと。
彼女の何倍もあるツリーに飾られた氷のようなクリスタルを、そっと支えながら笑っている。
手を伸ばしたらどこまで届く?あの輝き。
…可愛いな。このひとは。
少しだけはなれた僕に、ふと目をくもらせて駆け寄ってくる。
まだ消せない。お互いの切なさ。
「友だちでもいいよ。今は」
立ち止まって動けない僕に、涙をこらえて君は言った。
一つ一つ 重ねてゆく 白い花。
溶けやしない 重い雪。
ぎこちない距離。たまに触れる肩 指。
…まだ、君に手を 伸ばせない。