雑記・弐

□ピクトブックス
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白くて、
小さな、
まぁるい、
花が、

ふわり、と、
がくの先から
落ちた

まさに地につく
そのときに
花はふわふわ
浮かんで飛んで

きみの上にある
あさぎいろの
あの空の中で
わたあめになった

ふわふわ わたあめ
ふかふか わたあめ

花のわたあめは
ずっと低空飛行で
風に流され
空に洗われ
山脈むこうの
海をみにいく

すんずん、
ずんずん、
ずんずん、
ずんずん、

じきに風が香ってきて
山を越えたわたあめは
煌めく水平線をみた

ゆっくりと、
陽が、
昇る。

紅い、紅い、
業火に照らされ
そのめらめらと揺れる
太陽の紅るさに
わたあめは
目がくらんで
海に
紺碧に
墜ちた

黒い海のかげで
墜ちたわたあめは
美しいイカになった
すいすい
すいすい

いっぱい泳いだ

花のわたあめのイカは
とびうおと遊んだ
朝陽も浴びた
長いあしで歩いて
月も追った

のりの景色が
何度か
変わり、
変わりはて、

イカは
宙に
跳んだ

跳んで、
きらきらの
夜空の
オリオン座の
まんなかの
200点のとこに
みごと刺さった

ブラボー!
とびうお達の歓声
イカは
うれしくて
恥ずかしくて
きゅう、と
まぁるくなった

白い、
小さい、
まぁるい、
花になった



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